第320話 えっ! うそ? (3)

 ドン!


 ガン!


 ドン! ドン! と。


 俺の身体から打撃音が鳴るから。


「い、痛いって、お前等……。何で、俺のことを殴り、蹴り、する訳?」


 俺が『はぁ~』と、大きな嘆息を漏らしつつだけれど。


 取り敢えず、こいつとの関係は、二度とないわ! と、思っていた。


 俺のことを中坊の時に散々裏切った志乃奴……。


 そう、以前、俺が中坊の時に付き合っていた最悪の女……。


 一度裏切る女は、二度も、三度も裏切るのだと、言った教訓を。


 俺の脳内へと叩き込んでくれた女の復帰に関して。


 翔子と幸と加奈、由美の四人が俺の身体をさり気なく叩く、蹴る、の暴力を振るうから。


 俺が四人へと不満をもらえば。


「もう彼女増やさないって言った、じゃん!」


「和也の嘘つき!」


「ゲスを!」


「和君のち〇こ噛み千切ってやるから!」と。


 翔子、加奈、幸。


 最後に由美の奴が恐ろしいこと。


 俺が震え慄くようなことをあっさりと告げてくるから。


「お前等四人……。マジで、そんなに睨むなよ。そして怖いことを言うなよ。マジで俺、怖いから」と。


 俺は本気で、自身の顔色を変えながら告げると。


「おい、山田~。マジで翔子と幸と山本……。由美ちゃんに後ろからブスリと刺されるなよ。わっ、ははは」


 牧田の奴は、本当に他人事だから。


 俺のことを嘲笑いしているけれど。


 俺としては牧田! お前も他人事じゃないのだぞ!


 お前が沢山の女と付き合っているのを俺は知っているのだからな!


 特に学園内で付き合っている女子達は、牧田が浮気をすることを公認済みで付き合っている。


 牧田親衛隊がいるのを、俺は知っているから。


「お前もなぁ、牧田……」と。


 俺が低い声で告げると。


「ああ、そうだった……。俺も何時、女達から刺されるかわからない立場だったのをすっかり忘れていたよ。山田。あっ、ははは」と。


 まあ、本当にこいつは懲りない、気にもしない奴だなと。


 俺は感心しつつ牧田を見詰める。


 俺は相変わらず四人から蹴る、叩く、の暴行を受けてはいるけれど。


 これもいい加減馴れてきた、俺でね。


 直ぐに噛みつく、絵美がいないから。


 今日はよかったな、と思う。



 ◇◇◇




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