第310話 おっ! これは? (7)

「山田、お前って、本当に女に優しいよな?」


 牧田が苦笑いを浮かべつつ尋ねてきた。


 だから俺は、「そ、そうか?」と、牧田に照れ恥ずかしそう。


 自身の頭の後ろをポリポリとかきながら、言葉を返せば。


「ああ、山田は優しいよ。俺なんか、絶対に女を送り、迎えなんてしない。自分で帰れ、って感じだからさ」と。


 牧田は、自身の胸を張りつつ、威張って告げると。


「牧田先輩ってマジで酷い」と。


 由美が怪訝な表情で告げれば。


「牧田は悪人だからね!」


「そうそう、マジで悪者だから」と。


 翔子と幸が苦笑いを浮かべつつ、呆れ声で牧田を中傷するのだが。


「二人共、俺の事を褒めてくれてありがとう」


 牧田がケラケラ笑いながら言葉を返すから。


「牧田君って本当に最低……」


 俺も含めてそうなのだが。


 牧田も一番中傷批判を言われたくない相手……。


 無感情で淡々と呟く、加奈に言われたから。


「山本、マジでぇ~。その言い方辞めてくれねぇかぁ~。マジで傷つくんですけど~」


 加奈に中傷され絶叫をあげる牧田は、言葉を吐き終えると。


「山田からも山本に何とか言ってくれよ~。俺も他の奴に言われても気ずつかねぇ、けれど。山本の無感情からの中傷は流石に堪える」と。


 自身の顔色を変えつつ、嘆願をしてくるから。


『加奈』と俺が声をかけようとすれば。


「こらぁ~。そこの少年達~。うちの車に悪戯をしたら許さんけぇねぇ~」と。


 女性のプンプンとしている声が聞こえた。


 だから俺は、


(このジャパンの持ち主って女?)、


(それも若い女だ!)


 と思いつつ。


 加奈に声をかけるのを辞め、声の主──。


 このブルメタと黒のツートンカラーのジャパンを駆る女性に俺は、良い訳と謝罪をしようと視線を変える。


「し、志乃か、お前?」


 俺はジャパンの持ち主の顔を見て、よく知る人だから驚愕!


 自身の口が開いたまま、締まらなくなってしまう。



 ◇◇◇






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