第309話 おっ! これは? (6)
蘭が困った顔をしている沙紀へと尋ねた。
「うん、言っていたよ」と。
沙紀は蘭の問いかけに対して頷き。
「塾の日は、和也が家まで送って帰ってくれるって、ママに言ったら。じゃ、塾いいよ。ッて、言ってくれた」と。
俺が知りもしない台詞が沙紀の口から漏れたから。
「沙紀、何だ、それ?」
俺が自身の両目を大きく開け、驚きを隠せない表情で沙紀へと尋ねると。
「えぇ~、いいじゃ、ん。別に和也! 塾の日ぐらい! 絵美さんの塾の日に和也が迎えにいくことだってあるじゃ、ん。だから私と蘭の時も送っていってお願いだから」と。
沙紀が俺の自身の両手を、合わせ嘆願をすれば。
「沙紀の案、それ良いかも?」
蘭もケラケラと笑いつつ、沙紀の意見に賛成だと告げると。
「山田良いんじゃねぇの~? 新宮寺と大田の学区も。高校からそんなに遠くねぇし。その気になれば、十分に歩ける距離だし。それに、山田の親戚の家も近いんだろう?」
牧田の奴も、沙紀と蘭の意見に賛成するから。
「でも、それを言ったら加奈だって、塾終われば一人で帰っているんだから。加奈の家も送って帰ってやらないと不公平だから」と。
俺は沙紀、蘭、牧田から加奈へと視線を変え告げる。
「和也、私は別にいいよ。私の場合は、安佐北区で芸備線だから。駅も薄暗いので、お母さんがいつも迎えにきてくれるから」と。
機嫌良く無表情で告げてくるから。
「本当に、そうなのか?」
俺が再度加奈へと尋ねる
「うん」と加奈は。
無表情だけど機嫌良く頷くから。
「そうか。じゃ、加奈は大丈夫だな」、
「うん、うん」と、俺が首肯をすれば。
「山田~?」
「どうした、牧田?」
俺が首を傾げる。
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