第308話 おっ! これは? (5)

「ああ、沙紀家のおじさんとおばさんも、沙紀の恋愛に関して固いし、煩いもんねぇ」と。


 沙紀の幼馴染の蘭が苦笑いを浮かべつつ告げると。


「マジで~?」と。


 牧田が驚愕するから。


「うん」と。


 俺も苦笑いを浮かべながら頷くのだが。


「えぇ~、大丈夫だよ。和也~。家に遊びにおいでよ。家のパパの車を見せてあげるから」と。


 当の本人である沙紀の奴はこの通りだよ。


 俺が家に遊びにきても大丈夫だと告げてくる。


 でも、沙紀の元カレの件もあるけれど。


 沙紀の両親が、受験勉強が疎かになるから、俺と別れるようにと告げたのは本当の話しみたいだから。


 俺も流石に沙紀が。


 俺が原因で不仲になるのは不味いと思うから。


「でもなぁ、沙紀? 俺がお前の家へといったら流石に不味いって。またお前、お袋さんや親父さんに顔を殴られるぞ」と。


 俺が少し困った顔をしながら沙紀を諫めれば。


「うん、確かに」と。


 蘭が頷き。


「そうだよ。沙紀不味いって。山本さんもそう思わない?」


 翔子が加奈へと問えば。


「うん」とあいつが無感情で頷くのだが。


「みんなぁ、大丈夫だよ」と。


「ママとパパが私の顔を殴ってきたら。今度は殴り返してやるもん」と。


 沙紀の奴が、シャドーボクシングの真似事──。


「シュ! シュ!」と。


 口ずさむから。


「沙紀、お前なぁ~」と。


 俺は呆れた声で沙紀に声をかけ。


「俺が原因で親子喧嘩をするのは、マジでやばいし」と。


 俺が苦笑いを浮かべつつ。


 遠回しに沙紀に駄目だと告げても。


「和也、本当に大丈夫なんだって。ママは私に塾だって戻っていいって、言ってくれているもん」


 俺に続き沙紀まで、困った顔をしながら呟けば。


「でも沙紀? 塾だったら、あんたの帰宅時間が遅くなるから。おじさんとおばさんは駄目だと言っていたと。沙紀、あんたが言っていなかった?」



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