第295話 高校三年生になれば、梅雨の長雨が続くと嫌な事を思い出す(2)

「……ん? 和也?」


「ああ、和也なら知っている」


「ああ、和也ならば知っているけれど。お前等どうかしたのか?」


 俺と同じ中学だった奴等が、自分達の仲間内で屯しながら楽しそうに会話をしているところを。


 牧田のツレが話しかけたから。


 会話を折り、邪魔するような感じになったみたいだから。


 俺と中学校が一緒だった奴等は、大変に不機嫌そうな顔をしつつ。


『あぁ~、だからどうしたぁ?』と言った感じで言葉を返してきたらしい。


 だから牧田のツレ……。


 宮島の時に一番生意気だった奴がさ。


「俺のツレ、真面目な二高にいるんだけれど。この間、その山田って言う奴と。そいつの彼女達と遊んだんだけれども。山田が元二中のもんなら、多分俺のことを知っていると思うぞ、ッて、言うからさぁ。確か、渡辺とか二中じゃなかったかな? と、思ったから聞いたのだけれど。知らないなら良いは、御免……」と告げ。


 触らぬ神に祟りなしではないけれど。


 そいつが通っている私学の高校は、俺と同じ中学だった奴等がシメているみたいで。


 牧田のツレは以前から、そいつらと仲良くなりたかったみたいで。


 俺の名前を出し、話しかけてみると。


「お前の二高に行っているツレと和也、仲が良いのか?」


 急に声のトーンを変え、柔らかい口調で俺のことを尋ねてきたから。


 あいつさ、「うん」と頷いて。


「この間、山田や彼女達と一緒に宮島で遊んだんだよ」と。


 あいつうそばっかりと言うか?


 う~ん、あれって、遊びだったのか? と。


 俺は真剣に考えてしまったけれど。


 牧田が両手を合わせ「山田、悪い! 悪い!」って謝るから。


「ああ、別にいいぞ。気にしなくって。地元でツレと会った時に話しだけ合わせてやるから大丈夫だ」と告げておいた。


 でッ、牧田のツレはと言うと。


 俺と一緒に遊んだと告げたものだから。



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