第294話 高校三年生になれば、梅雨の長雨が続くと嫌な事を思い出す(1)
(ああ、今日も雨か、気だるいな……)
俺は自身の机の位置から、遠目で教室の窓から外の様子──。
そう、雨が降る様子を見詰める。
「お~い! 山田~。お前家~。安佐南区だから災害に気をつけれよ」と。
何故か俺の身を案じてくれるようになった奴から声がかかるから。
「ああ、牧田~。ありがとうなぁ~」
俺は気だるげだが、牧田の奴にお礼を告げると。
「牧田~、あんたぁ~。また~、家のクラスにきたの? 何でわざわざ家のクラスにくる訳? ねぇ、沙紀も思うでしょう?」
「うん」と。
牧田の顔と声を聴き、怪訝な表情でいる蘭が沙紀に話しを振れば。
沙紀の奴は頷き、俺の身体に慌てて隠れる。
そんな沙紀や蘭……だけじゃないか?
加奈や翔子に幸……。
そして直人の彼女である富美まで怪訝な表情で牧田を睨むと。
「おい、おい、お前等。そんなに俺を見てあからさまに嫌な顔をするなよな。俺だって本気に傷つくんだぞ。それに俺はもうお前達に危害を加えるつもりはない。俺は山田と仲良くしようと思っているのだから。山田のツレのお前等が、そんなに俺の事を毛嫌いするなよな」と。。
牧田の奴は、自身の首を振りつつ両手あげ、勘弁して欲しいと、ジェスチャーすれば。
「山田、どうしたんだ。浮かない顔をしながら窓の外を眺め何かあったのか?」と。
牧田の奴が、俺に気をつかって話してくると説明をしたところで。
みなは、何で牧田いるの? と思うかも知れないと言うか。
俺自身もそう思うのだが。
あの安芸は宮島──厳島事件から、牧田の奴はこの通りでね。
あいつのツレの奴等が、俺と同じ中学だった奴等に。
「あのさ、お前等山田和也って知っている?」
と、尋ねたらしいんだ。
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