第292話 久し振りにあいつに叩かれたから終焉(7)

 蘭や沙紀が翔子へと説明をする前に。


 俺が三人の間に割って入り、沙紀と蘭へと尋ねた。


「えっ!」と沙紀が、俺の問いかけに対して驚嘆を漏らせば。


「う~ん、そうじゃねぇ。慎吾君は同い年の人とか、後輩の女子とかにも良くモテていたよね。沙紀?」


「えっ、いや、あの、どうだろう?」


 蘭の問いかけに対して、沙紀が、歯切れが悪いしゃべり方をするから。


「沙紀さん、どうしたの?」


 絵美が首を傾げると。


「沙紀、もしかしてあんた? 中学校の時に彼氏がいないとか言っていたけれど。もしかして和也の従兄とお付き合いをしていたと言うことはないよね?」


 沙紀の奴の様子が可笑しいから幸の奴が、自身の瞼を大きく開けながら尋ねる。


「えっ! 沙紀、そうなの?」


 幸の沙紀の問いかけを聴き。


 沙紀が幸へと言葉を返す前に。


 俺が沙紀へと尋ねると。


「えっ! いや。それはない、ない」と。


 沙紀が苦笑いを浮かべつつ、自身の目の前で手を振れば。


「新宮寺さんは、余り和也の目の前で。他の男の人の事を嬉しそうに褒めたら和也に怒られるから。出来るだけ、話しに加わらないようにしているのよね」と。


 加奈が幸へと問えば。


「えっ! そうなの、沙紀さん?」


 絵美が驚愕しながら沙紀へと尋ねる。


「うん」


 すると沙紀は、あっさりと頷く。


「和也~」


 何故か、絵美が呻るから。


「ん? 何だ、絵美?」


 俺は急に不機嫌になった絵美へと首を傾げると。


「あんたぁ? そんなに沙紀さんの事を怒っている、ん?」と尋ねてきた。


「俺が沙紀のことを、か?」


「うん、そうだよ。和也……。あんた、以外誰がいるの?」


 絵美が俺へと尋ねてくるから。


「俺、今は沙紀のことを余り怒らないよな?」と。


 俺は自身の周りの奴等に尋ねる。


「うん」


「今頃は怒らないよね」


「うん、そうだね」


「確かに」と。


 加奈と翔子、蘭に幸が頷けば。


「私は少し前にやらかしたばかりだから。まだ自粛中の反省中なの、絵美さん」、


「あっ、ははは」と。


 沙紀が笑い誤魔化すように絵美へと告げる。





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