第285話 憤怒(1)

「えぇけぇ、お前等こい。今から鮒家に連れていちゃるけぇ。ほらぁ、早ぅ、せぇやぁ、お前等~」


 俺は牧田の制服の襟を強引掴み、引っ張りながらフェリー乗り場へといこうと歩き始める。


「ちょっと待ってくれぇやぁ、山田……。俺等さっきも言ったけれど。鮒やん等タチが悪いけぇ、関わりとぅ、ないんじゃけぇ。俺等真面目に大学生にもなる気じゃけぇ。なぁ、皆?」


「「「うん」」」


 と、牧田の問いかけに対して、あいつのツレも仲良く頷いた。


 それでも俺は、牧田とこいつのツレを許す気はない。


 あれでも再度、沙紀や加奈、蘭や翔子に幸……。


 それと家の学園の女子達に酷いことをこれ以上されてもいけないと思うから。


 こう言う奴等……。


 女の子達を性玩具おもちゃにして楽しんでいる奴等は、一度はお灸を据えてやらないといけないとも思う。


 だからツレの家に連れていき。


 鮒が仕事から帰るまで、あいつ家のおばさんに頼んで待っていようと思うから。


 牧田を強引に引っ張るのだが。


 中々あいつ等は、俺に屁理屈ばかりを言ってついてこようとしない。


「牧田~! お前等、何が真面目に大学生になるけぇ、じゃ。少し可笑しんじゃ、ないかぁ? 俺は見んかったぁけどのぅ。沙紀が言ぅにはお前等、色々な女子達の裸や変なシーンを写真や動画に収めちょぉったと言ぅちょぉたぞ! そんな奴が、よぅ、言ぅ、のぅ?」と。


「何か言ぅてぇみぃやぁ、牧田? 鮒等も女が大好きじゃけぇ。あいつのチームの奴等に、女等を紹介しちゃれぇやぁ、牧田。同じ地元なんじゃけぇ」


 俺は苦笑を浮かべつつ、牧田達へと告げる。


「だから山田へとさっきも告げた通りじゃけぇ。その事も鮒やんや、あのメンバー達に言ゎんちょってくれんかぁ? そんな事をしょぅる何て知られたら。俺等毎日女連れてこいって脅されるけぇ、勘弁してくれやぁ。山田頼むけぇ」


 またまた牧田は、今にも泣きそうな顔と声音で、俺に許してくれと嘆願をしてきたのだが。


 俺自身も何年振りかの苛めっ子モードへと変貌しているから。


 牧田達が困った顔をすれば、するほど面白くて仕方がないから。


 更に牧田の制服の襟を掴んで、強引引っ張り。


「早ぅ、こいやぁ、お前等~。鮒家が嫌なら、俺の先輩のところ連れていちゃるけぇ。早ぅ、こいやぁ~」告げる。


 パチン!


 すると何処からともなく。


 他人の頬を叩く音……じゃ、ないよな?


 俺の頬を誰かが叩き。


「和也ー! いい加減にせんにゃぁ!」


 と、女の声音で怒声が放たれた。



 ◇◇◇


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