第282話 俺って陶晴賢公? (12)
でも牧田の奴は、沙紀の件で俺に殴られているから、
だから俺は目の先にあった、割りと大きな石を拾い、握ると。
牧田の奴に当てるつもりで投げてやった。
でも牧田の奴はあれでも、元家の高校のバスケ部のキャプテンだから。
俺が投げた石をヒョイ! と避ける。
「山田~、危ないけぇ、大怪我するけぇ。頼むから石を投げるのは勘弁してくれいやぁ、お願いじゃけぇ」
牧田の奴は、沙紀の時と一緒だよ。
もう既に半べそをかきつつ、俺に酷いことをしないでくれと。
あいつは可笑しなことを告げ、嘆願をしてくる。
「はぁ~。牧田~! 我がぁッ! 儂に喧嘩を売ってきたんだろぅがぁ!? えぇ加減にせいよぉッ! わりゃぁっ、牧田ぁあああっ!」
俺はまた牧田に呻り、吠えると。
また俺の足元に転がる石──。
今度は先ほどのよりも小さい奴を拾い。
牧田の奴に投げる。
ドン!
「いてぇえええっ! 痛い~!」
牧田に身体に今度は石がヒット!
だから牧田は、石が当たった箇所を押さえつつ絶叫──。
呻り始めだした。
「わりゃぁ、あああッ! 牧田ぁッ! 早ぅ、我もこっちにこいやぁッ! 今直ぐに!」
だから俺は、牧田の奴に止めを刺すように呻り、吠えると。
三発目の石をまた拾い、また振り上げ、投げる。
まあ、真似だけをすれば。
「ヒィ、イイッ! ま、マジで堪えてくれやぁ、山田……。お願いじゃけぇ……」
牧田の奴はとうとう泣き出しながら、俺に許しを乞うてきた。
「じゃ、早ぅ、こっちにこいやぁッ、牧田!」
俺が再度牧田に吠え、下知を出せば。
あいつは、自身の腕で、涙を拭きつつ、ドナドナしながらこちらへと向かってくるから。
「チッ! ほんまにどぅしようもないクソガキじゃのぅ、お前等わぁッ!」
俺は舌打ちをしつつ、悪態をつけば。
自身が握る石を地面に放り投げることはしない。
俺の真横にいる奴──。
俺の腹を先ほど調子良く殴った奴の背中に近距離から投げつけてやった。
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