第279話 俺って陶晴賢公? (9)
「お~い、お前等~。この辺でえぇんじゃ、ないんかぁ~?」
俺は、自身も前を歩く四人──。
牧田と、あいつのツレ達へと嬉しそうに笑いつつ、声をかけた。
「う~ん、山田。ここだと。未だフェリー乗り場が近くはないか?」
俺の言葉にバカな牧田が反応して、ツレみたいに声を返してくる。
俺達は敵なのにさ、こいつの頭はおめでたいな! と。
俺が思うとさ。
「う~ん、確かに、牧田の言う通りだよな。もう少し先へと行ってから。砂浜に降りてからの方が良くないか?」
牧田のツレも自分何さまだと思っているのか、知らないけれど。
大物ぶって、もう少し先で、この俺様をボコボコにしたいと申してきたよ。
「確か、この先? 包みヶ浦へと行くまでの道路沿いの海岸線に、人目につきにくい小山や倉庫みたいな建物があったような気がすけぇ。そこまで待てやぁ、山田……。そこで儂とタイマンを張ろうぜ、山田……」
牧田のツレが調子気に呟けば。
「お前が先に行くんかぁ。俺がこいつとタイマンを張ってしばいちゃろぅとしちょったのに。お前が俺の楽しみをとるんじゃのぅ」
今度は他の奴が、自身の掌を調子よく、握り拳で、パチン! パチン! と叩きつつケラケラと笑い。
仲間達へと自分は、二高へ通う真面目なガリベン兄ちゃんなんか、怖くはない。
余裕、余裕だから。
強い俺さまに任せておけばいいのにとアピールをすれば。
「皆で一度に殴り掛かった方が、えぇ事ないか? その方が早ぅ、終わるけぇ」と。
牧田の大馬鹿者が再度調子よく告げたから。
俺は待ち切れずと言うか?
ここでお前等をやらなきゃ、困るんだよ、と思いつつ。
「お~い。お前等~。俺はここじゃ、ないと困るけぇ」と告げると。
俺と最初にタイマンを張ると調子乗った奴へと慌てて駆けより。
自身が両手で握る物を。
バット! を振り切る感じで。
そいつの顔の正面へと俺は、バーン! だ。
だからそいつの口から。
「うぎゃぁ、あああっ! いてぇえええっ! いてよぉおおおっ!」
泣き叫ぶような絶叫が吐かれる。
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