第278話 俺って陶晴賢公? (8)

「ああ、そうだな」


 牧田の奴は先ほどよりも勢い。


 威勢と言う奴が少しばかり削がれた状態になっているみたいで。


「女達があんまり騒ぐと不味いけぇ。お前等、山田の肩に腕を回したりするのを辞めてくれんかぁ」


 牧田の奴は素直に、俺の嘆願を聞き入れ。


 自身の地元の悪友達に、俺の肩に腕を回したりして、ニヤニヤと笑い。


 威嚇をする行為を辞めてくれと嘆願をした。


 キョロキョロ


 牧田のツレ達は、あいつの言葉を聞けば直ぐに、自身の首を動かし、辺りを見渡し、確認を始める。


「ほんまじゃ、マジで、こっちを見ちょぉるもんが多いいの」


「マジで、このまま、ここで騒ぎよぉったら、警察に追放されるかも知れんの」


 自身の首を動かし、周りの様子を窺っていた者達が、このままでは不味いぞ! と、騒ぎ始めると。


「お前、牧田の言う通り。こいつから腕を離した方がえぇ、けぇ」

 俺の肩に腕を回している奴を諫める。


「そ、そうだなぁ。観光客の誰かに、ポリにでも連絡されたら不味いしのぅ」


 牧田のツレは、自身の顔を少しばかり引き攣らせながら言葉を漏らしつつ。


 俺の肩から手を離す。


 だから俺はやっとこいつから解放されたので。


(いや~、スッキリ、爽快! 気分は最高! 助かった~!)と、思えばね。


 俺は周りの奴等……。


 牧田や牧田のツレ達だけではなく。


 沙紀や加奈、蘭、翔子や幸達にも気づかれないようにしつつ。


 自身の口の端を吊り上げ。


 ニヤリと薄気味悪く微笑むと。


 シメシメ馬鹿な奴等目と。


 自身の心の中で嘲笑う。



 ◇◇◇



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