第276話 俺って陶晴賢公? (6)

「あぁ~、何だぁ~。こいつら、牧田のツレだったのか?」


 俺がフレンドリーな物言いで、こちらへと向かってくる牧田へと告げると。


「ああ、そうだよ、山田……。俺の地元のツレだ」と。


 牧田が言葉を返してきたから。


「俺もこれでやっと意味がわかったけぇ……。先ほどまで、一体こいつら誰だ? と困惑しちょったけぇ。これでこいつらが何で俺に絡んでくるのか理解ができるけぇ」と。


 俺は苦笑いを浮かべつつ、牧田の奴へと言葉を返す。


 最初はさ、俺の中坊の頃のツレが、他所のチームの奴等と揉めたのかな?


 でも少し前に偶々、偶然会った時は、広島は今平和だからと言っていたから。


 各地区にある暴走族同士のトラブルはないと思う? のと。


 俺は健全な高校生だからヤンキー同士の揉め事に巻き込まんでぇ、くれやと。


 告げようとしていたから。


 牧田がきてくれて助かった思えば。


「要するに牧田! 俺に話しがあるんじゃろぅが?」


 俺が苦笑いを浮かべつつ尋ねると。


「ああ、そうで! 新宮寺の時は、不意打ちに後ろからやられたけぇのぅ。その時の仮を返しにきたんじゃ!」


 牧田は苦笑いを浮かべ尋ねる俺に、憎悪を剥き出しに呻り、吠えるから。


「牧田ぁ~、あんたぁ~。何を言よぉるんねぇ。あの時は牧田が沙紀に乗っかろうとしたから。和也に背後からやられた、んじゃろぅに」


 牧田の呻り、吠えを聴き、蘭が呻り返せば。


「ちょっと、幸と山本さん。早ぅ、人を呼んできて。こいつら和也の事を四人がかりで殴るつもりじゃけぇ。早ぅ! 早ぅ!」


 蘭が吠えれば翔子が続いて。


 今足を止め、こちらの様子を窺っている加奈と幸を急かし始めるから。


「うん、分った」


「行ってくるね」と。


 加奈と幸が頷く。


「ちょっと、お前等待てよー! これは俺と山田の話しじゃけぇ。女のお前等がしゃしゃり出てくるなぁっ!」


 牧田がまた歩き出し、人を呼びにいく加奈と幸の、二人の足止めをおこない始める。



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