第273話 俺って陶晴賢公? (3)
「あっ、いた。いた」
「こっちにいるぞ」
「もうフェリーに乗って、帰ったかと思ったけぇ」
何か騒がしい声が俺の耳へと入る。
だから俺は、(ん? 何だ? 何かあったのかな、他校で……。もしかしてトラブルか?)と思い。
(こんな場所で大変だな……)
俺は苦笑を浮かべつつ、偏差値の低そうな奴等の様子をチラチラと伺うと。
頭の悪そうな奴等が壱、弐の参と。
ニヤニヤと笑いながら向かってくるから。
(この周りにいる奴の誰かの知り合いかな?)
俺は、自身の脳裏で思いつつ、辺りをキョロキョロ……。
でも、俺達六人以外姿がないのだけれど。
(誰の知り合いだ?)、
(もしかしたら翔子と幸の知り合いか?)
まあ、自身の脳裏で呟けば。
(後で翔子と幸に、こんな奴等と付き合うな!)と諫めようと思う。
「お前、山田だよなぁ?」
俺達の許へと他校の男子三人が近寄ると。
相変わらずニヤニヤと気持ち悪いと言うか?
俺のことを揶揄、嘲笑うように笑いながら。
三人の内の一人が俺へと尋ねてきた。
「ああ、俺が山田だけれど。それが、どうかした?」
俺は、(こんな知り合いは俺にはいないけれど。ツレのツレかな?)と思いつつ。
自身の首を傾げると。
三人の一人が俺の真横にきて肩に腕を回してきた。
「和也の知り合い?」
相手がどうもヤンキーぽいから、沙紀の奴が顔色変え。
俺へと尋ねてくる。
「いいや、知らねぇ……。俺のツレのツレかな?」
俺は苦笑いを浮かべながら沙紀へと言葉を返せば。
「そうそう、こいつの言ぅ通りだよ。俺達は、こいつのツレのツレだよ」
俺のかたに腕を回している男がヘラヘラと笑うから。
「あんた達誰? うちの和也に何か用?」
蘭が自身の眼を細め、呻り、尋ねれば。
「だから言っているだろう? コイツのツレだって……」
「嘘よ! 和也のツレでないでしょう?」
「ちょっと、あんた達、和也を離しなさいよ!」
俺の周りに蠅のように集っている。
誰の知り合いかわからない。
私学の制服をだらしなくきている男子三人が。
ケラケラといやらしく笑いつつ。
余りにも俺に馴れ馴れしく振る舞いつつ、纏わりつくから。
蘭と翔子の二人が、三人のヤンキーに対して危機を感じ、俺から離れろと告げる。
◇◇◇
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