第267話 いざ! 安芸の宮島に出陣! (2)

「はぁ~、何よ。それ? 意味がわからないと、言うか? 和也にはもうこれ以上いらないから、二人とも離れてよね」


 沙紀がハーレム仕様のラブコメに出演しているヒロインさまみたいな言葉を二人──。


 ま翔子と幸の二人へと呻り、ガミガミと吠えまくる。


 でも蘭と加奈、絵美の三人は沙紀とは違い。


 大変に落ち着いた様子……。


 自身の両腕を組み、俺と沙紀、翔子、幸の四人が相変わらずじゃれる様子を窺う。


 そして少しばかり時間が経てば三人は、自身の口を開けるのだった。



 ◇◇◇


「翔子と幸って、やっぱり和也の事が好きだったんだね」


「私も以前からそうだと思っていた」


 蘭と加奈が俺達四人のじゃれる様子を窺いつつ言葉を漏らすと。


「私、最初翔子さんと幸ちゃんを見た時に。和也の前の彼女だと思っていたもの」


 絵美が俺達へと告げてきた。


「えっ、うそ?」


 俺は沙紀と翔子と幸に。


 俺の周りでじゃれあいこをするなと諫める行為を辞め、絵美へと首を傾げると。


「うそじゃないよ、和也。だって和也は翔子さんと幸ちゃんのことを名指しやお前って呼んでいるじゃない。それってさ、余程仲の良い娘じゃないと言わないよ。ねぇ、みんな?」


 絵美が俺に説明を終え、他のメンバー達へと話しを振れば。


「うん」


「確かに」と。


 加奈と沙紀が頷く。


「和也って私を蘭と名指しするよりも。翔子と幸を名指しする方が早かったもんね」


 二人に続くように蘭がにへらと笑いながら言葉を漏らせば。


「ねぇ、翔子と幸……。蘭が二人は和也のことを好きだと言っているけれど。そうなの?」


 沙紀が困った顔、声音で二人へと尋ねる。


「う、うん。そうみたい、だね。あっ、ははは」


「最初に和也を見た時から。そうだと思う」


 翔子が笑い誤魔化しながら沙紀へと納得すれば。


 幸は恥ずかしそうに俯いた。


 だから「はぁ~」と沙紀は大きな溜息をつくが。


 この話しはここで終わり。


 取り敢えず保留となる。


 絵美も学校へといかないといけないのと。


 俺達も宮島が現地集合の遠足へといかないといけないから。


 絵美には後で、遠足帰りに逢おうなぁと言いつつ。


 俺達は西広島駅で別れた。



 ◇◇◇




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