第257話 連休開ければ遠足だ! (3)
「それに沙紀、俺は塾があるから。お前を送ったら。速攻で塾にいかないと不味いから。今日は、流石にプロレスは無理っぽい」、
「あっ、ははは」と。
俺は沙紀へと笑い誤魔化し。
「はぁ~」と大きな嘆息を漏らした。
「どうしたの、和也? もしかして、和也も私と白熱したプロレスがしたかったの?」と。
沙紀は可愛く小首を傾げながら、俺へと訊ねてきた。
「ん? うん、まあ、なぁ。あんな出来事が終わった後だから、独占欲と言うか? 俺の物だと再確認したいと言うか? どう言ったらいいかな? 俺もよくわからねぇ、やぁ」、
「あっ、ははは」と。
俺は自身の後頭部に手を当てつつ、笑い誤魔化した。
「そうかぁ~。よかったぁ~。和也、まだ私とプロレスしたいと思ってくれていたんだね。じゃ、私安心したよ」
沙紀は俺に嬉しそうに告げると。
更に俺の二の腕に、自身の腕を絡ませ、甘えつつ。
「じゃ、和也~。やっぱり、家にきてよ。ママやパパにもちゃんと紹介するし。少しだけでいいからプロレスしようよ。私和也に甘えたいから」
沙紀の奴は天使のお誘いではなく、悪魔の囁きで、俺を自身の家、部屋へと誘う。
だから俺はどうしよう? ではない。
「今日はやっぱり俺、塾があるから無理だ。カバンだって蘭や加奈に預けた状態だから。それをとりにもいかないといけないから」と。
俺は沙紀へと説明すれば。
「週末の休みに俺家にくればいい」と告げるのだが。
「えぇ、今日がいいよ。和也……。特にあんなことが遭った後だから。部屋で一人でいるのが嫌なんだもん」
沙紀はやはり今日がいいと誘ってくる。
「沙紀、俺もお前の気持ちもわかるし。俺も一緒にいてやりたいけれど。今日はやっぱり塾があるから無理だよ。明日学校で一緒にいてやるからな。それでいいだろう?」
俺は沙紀の誘いをまた断る。
「う~ん、じゃ、今晩和也の家に泊まっていい?」
今度は沙紀が、こんな突拍子もないことを告げてくるから。
「沙紀、お前! 両親に! 俺家に泊まるなんて言ってみろ。また親父さんに殴られるぞ!」
俺は驚愕しながら沙紀を諫める。
「別に家のパパにばれてもいいし。殴られても怖くはないし。逆に言い返してやるもん。それに和也のところに泊まりにいくとは言わないもん。美和ちゃんと美子ちゃんのところに泊まりにいくと。家の両親に告げるからばれないよ」
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