第248話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (20)

「和也ー! もうやめてぇー! お願いだからぁー! このままだと牧田が死んでしまうから、おねがい。和也、やめてぇー!」


 沙紀の奴が、俺の背後から抱きつき。


 牧田に乱暴するなと庇い始めだした。


 だから自身の気が高まり、荒々しい俺は。


 自身の背後から抱きつく沙紀のことを。


 自身身体と腕で、アイツの華奢身体を強引に払いつつ。


「はぁ~、沙紀! わりゃあああっ! 離せやぁっ!」と咆哮し、吠え。


「沙紀! お前、何、牧田を庇よぉるんならぁ! 離せー! 離せやぁっ! こらぁっ! 沙紀」と。


 完全に興奮している俺は、もう誰だろうとお構いなしだよ。


 自身の身体と腕とを使用して。


 沙紀の華奢身体を強引に突き放し、飛ばせば。


「きゃぁ、あああっ!」と。


 沙紀の奴の口から絶叫、悲痛な叫びが出るけれど。


 俺はそのまま、床に横たわる沙紀の正面へと立ち。


 アイツを見下ろせば。


「沙紀! わりゃぁ、お前! 牧田の奴を庇ったの。後で覚えていろよ。お前!」と。


 興奮して訳解らなくなっている俺は、沙紀へと殺し文句を言えば。


 アイツの転がる横に椅子を叩きつけた。


 だから沙紀の奴は咄嗟に。


 自身の身体を庇うように丸くなり、ガードしつつ。


「きゃぁ、あああっ!」と。


 アイツ、俺のことが怖い、畏怖しているから絶叫を吐いた。


 だから俺はチッ! と舌打ち。


 このクソビッチがと思い。


 アイツに悪態をつけば。


 ガタガタ。


 すると俺の後ろで何かが動く音がしたから。


 俺が慌てて後ろを振り向くと。


 牧田が学生ズボンをずらしたまま。


 パンツ一丁でこの場から一目散に退散──。


 未だ俺との喧嘩の続きと、話しの方も終焉していないのにさ。


 沙紀の奴を置き、逃げようと試み始めたから。


「牧田、お前ー! 何逃げようとしているのだ!」と。


 俺は牧田に罵声を吐きつつ。


 牧田の前に椅子を投げてやった。


 すると牧田の奴の足は直ぐに止まり。


「や、山田。頼むから許してくれよ。お願いだよ。もう二度とお前等にはかかわらないし。俺、新宮寺には未だ何もしていないから。頼むよ。山田、堪えてくれよ」



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