第247話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (19)

「うっ!」


 牧田の奴は俺に椅子で殴られ。


 変な声を漏らしつつ、微妙に海老反り。


 それがさ、何となく見ていて面白いから。


 俺はケラケラと笑いつつ。


「ほうらぁ~。牧田~。早く立ってかかってこいよ。俺のことがお前は気に入らないのだろう」


 牧田に悪態を尽きつつ。


 椅子の足の部分で。


 あいつの背や腕、身体を殴りつつ。


「ほら、ほら、立て! 立てよ~。高校デビューさま。もっと殴り回してやるから立てよ。牧田~」と。


 俺はヤンキーのお約束ごと。


 自身の地元名を言いつつ。


 牧田の奴に「○○をなめんなぁ~。こらぁ~」と呻りながら。


 牧田の身体を椅子で殴り。


 足で蹴る、を繰り返したよ。


 俺はさ、人を凶器で殴ること。


 相手の頭、顔であろうとも平気!


 ヘラヘラと笑いながら躊躇わず殴ることができるからね。


 だって俺、中坊の頃はラ○って、喧嘩の時には普通に木刀や金属バット、鉄パイプ、三段式警棒で相手を殴っていたし。


 中学校内でも、タメの奴と喧嘩になっても普通に。


 俺の側にある椅子でドン! と。


 喧嘩相手を殴っていたタイプだった。


 でも絵美にガミガミと口煩く言われ。


 真面目になった俺だけれど。


 二年以上経っても、一度切れさえすれば。


 俺は相変わらず他人のことを。


 屁とも思わず殴ることが可能なんだとわかった。


 だから牧田の奴が。


「うっ」


「うっ」と。


 オットセイみたいに呻り、泣く様子が可笑しくて仕方がないから。


「ほら、牧田! 早く立てよ! 立って、この教室から逃げないと。本当に殺しちゃうぞ。牧田~」


 俺がヘラヘラ笑い、楽しみつつ。


 牧田に告げると。


「や、山田。ご、ごねんよ。もう新宮寺には手を出したりしないから勘弁してくれよ。お願いだよ。頼むから」と。


 牧田は泣きながら、俺に謝罪してきたけれど。


 俺自身、この馬鹿を許す気は毛頭ないから。


「泣いて、謝るぐらいならば。最初からするなぁ。この芋引きが。えぇから、早ぅ、立てよ。牧田~。そんなに顔を隠していたら~。お前の自慢の顔をグチャグチャにできんじゃろぅが~? 早ぅ、立てぁ~。牧田~」と。


 俺が咆哮しつつ牧田の大きな尻を二、三発蹴るとさぁ。






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