第246話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (18)

 だから牧田の奴はやっとここで。


「うぎゃ、あああっ! 痛ぇっ! 痛ぇよ! 顔が痛ぇ~!」と絶叫!


 陸にあがった魚のように。


 鼻血を垂らしながらのたうち回り始めるから。


「きゃぁあああん!」


 沙紀の奴も驚いて絶叫を吐く。


 だから俺がジロリ! と睨めば。


「ヒッ!」と沙紀の奴は。


 俺に畏怖した声を漏らした。


 そしてアイツは、憤怒している俺が怖いのだろう。


 自身の身体をガクガクと震えさせながら大人しくなった。


 だから俺は沙紀から牧田へと視線を変え。


 絶叫! 悲痛な声音で泣き叫びながら。


 教室の床の上でのたうち回り。


 机や椅子を倒している牧田の奴へと。


「わりゃ、あああっ! 牧田ぁあああっ! ぶっ殺してやるー!」


 俺は怒声を吐けば。


 自身の顔を押さえている牧田の顔を蹴り。


 今度はお腹の溝を狙いすまして蹴る。


「ぐほっ!」


 牧田の奴が大変に苦しそうな声を漏らすから。


「牧田~、お前~。馬鹿かぁ~?」と。


 俺はケラケラと笑いなが言いつつ。


 今度は人間の急所の一つ、肝臓を狙って蹴り始める。


 それも一発ではなく。


 何発も、だよ。


 だってさ、ここをさ、何発も強く蹴るとさぁ。


 人って息が出来なくなるくらい辛いし。


 立てなくなるんだよ。


 俺さ、中坊の時に喧嘩をするとさぁ。


 最後には相手の肝臓ばかり狙うのが癖なんだよね。


 それもさ、戦意が無い奴を蹴るのが楽しいのだよ。


 だから俺は牧田の顔を蹴る行為をやめ。


 俺の背後で震え、怯えている沙紀のことも放置しつつ。


 牧田の奴が泣き叫び。


 俺に地面に頭を当てつつ、土下座をするまで蹴り続けてやろうと思う。


 牧田の奴が地を這う姿が。


 俺は見たくて仕方がないからね。


 だけど俺は牧田を、奴を蹴るだけじゃない。


 だって俺の怒りのボルテージは、牧田を蹴るぐらいでは気が済まない。


 だから俺は自身の真横に転がっている椅子を振り上げた。


 そして牧田の奴の身体に落とし、殴る。


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