第245話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (17)

「はぁ、はぁ」


 まだ沙紀の奴は教室にいるかな?


 俺はこんなことを考えつつ。


 自身の教室へと息荒く階段を。


 一歩抜かしをしつつ、慌てて駆けのぼる。


 沙紀の奴は、できればもう教室、学校からでて。


 帰宅の途についてくれていればいいのになぁ、と。


 俺は思いつつ、階段を慌てて駆けあがり三階へと到着──。


 自身の教室へと慌てて駆け足で向かう。


「はぁ、はぁ。いいだろう新宮寺? どうせ山田とは毎日のようにやっているんだろうし。前の大学生の彼氏とだってお前やっていたんだろう? だから俺にもやらしてくれよ。そして俺も、お前のセフレに加えてくれよ。お願いだから」


「いやよ。いや。頼むから。私にもうこれ以上変なことをしないでよ。おねがい。頼むから……」


「新宮寺、そんなに泣くなって。俺も別にお前が抵抗……。悪あがきをしなければ。もうこれ以上酷い事はしないから……。ほら、素直に○を開けって。俺も直ぐに終わらすから……」


「いや、いや。やめて、牧田おねがい。許してよ……」


 そして「誰か助けておねがい……」と。


 俺の耳に牧田の鼻息荒い台詞と。


 沙紀の奴の力無い、小さな声音と啜り泣きが聞こえてきた。


 だから俺は更に走る速度をあげる。


(南無……。頼むから間に合ってくれよ)と。


 俺は珍しく神頼みをしながら走る。


(た、頼む。頼むよ。あいつの時のように気がついたら手遅れだった言うことが。沙紀では起こらないでくれ! 頼むから!)


 俺は神さま、仏さまに願いつつ、教室の中に飛び込んだ!


 すると牧田の奴が、俺の沙紀のスカートを捲り上げ乗りかかろうとしている最中で。


 俺の足音と気配に驚愕──。


 沙紀の両足を自身の両肩に乗っけようとした行為をやめたから。


 俺は間に合ったと確信し。


 俺の憤怒している顔を凝視して。


 自身の瞼と目、口を大きく開けている牧田の顔へと。


 怒声を吐く前に回し蹴り。


 牧田の身体を教室の床へと倒せば。


 そのまま、牧田の顔を踏んづけ。


 もう一度蹴りを!


 そう、サッカーボール蹴るように顔面を蹴る。

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