第242話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (14)

【沙紀編】


「ふぅ、進路指導。先生の言う通りで。こんなにも早く終わるのならば。和也達の言う通りで。待っていてもらえばよかった」


 私は嘆くように独り言を漏らしつつ。


 誰もいない教室内で帰宅の準備……。


 さぁ~て、自身のカバンの中に教科書、ノートに筆箱……。


 和也のために、自身の腕によりをかけて作ったお弁当箱もちゃんと入れたし。


 私はもう一度、自身の机の中を覗き込んで。


 忘れ物がないかを確認──。


(1・2・3……)、


(よ~し、忘れ物はないようだね)


 私は自身の脳裏で呟くと。


 自身の身体を起こし、カバンを持ち。


 いざ帰宅の途につくために。


 教室の出入り口──。


 扉へと向かって歩くの。


 私は陽が暮れるまでに、自宅へと帰宅をしたいからね。


 私は足早に教室の扉へと向かい。


 私は扉の前に着けば。


 扉の引き手を見詰めつつ。


 私の華奢指先を当て──。


 ガラガラと扉を開く。


(……ん? あれ? 何で扉が自動で空いたのだろう?)


 私は自身の脳裏で思いつつ。


 自身の顔を上げる。


 ドン!


「きゃ、あああっ!」


 私は、自身の顔をあげた瞬間──。


 誰かに強く胸をドン! と。


 殴るように押された。


 だから私はそのまま後ろに倒れ。


 教室内の床を枕に横たわる。


 でも、私は直ぐに。


 自身の上半身を慌てて起こしながら。


「誰~? 私の身体を強く押したのは、いい加減にしてよね」と。


 私は自身のクラスメイトへと罵声を吐きつつ。


 私の身体を悪意を込めて、殴るように押した者──。


 その者を私は鋭く睨みつけ、誰なのかを確認した。


「へっ、へ、へへっ。よう、新宮寺。久しぶりだな、元気にしていたかぁ~?」


 私が自身を殴るように突き飛ばした相手の顔を確認すれば。


 何処かで聞き覚えのある声……。


 そう、牧田の奴が。


 まだ床に転がる私を見ながら、ケラケラと嘲笑いしつつ。


 私へと悪態をついてきた。


「ちょっと何をするのよ。牧田はいい加減にしてよね」


 私のことをニヤニヤと嘲笑う牧田に対して私も威勢よく、荒々しく、悪態をついてやった。


 だから私も自身の身体を慌てて起こし。


 この場から退散──。


 逃げるために自身の身体を起こそうと試み始める。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る