第241話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (13)

「和也、行ってきたら。沙紀のところへ」


 蘭が苦笑いを浮かべつつ。


 どしても沙紀のことが気になるのならば。


 教室まで沙紀を迎えにいってこいと告げてきた。


 だから俺は、(う~ん、どうしよう?)と思えばね。


「和也、本当にもしものことが起きたら。取り返しがつかなくなるから、新宮寺さんのところに行ってあげて」


 呻る俺に今度は加奈の奴が沙紀に。


 もしものことが起きたら大変だから。


 教室まで迎えにいってやってくれと告げてくる。


 だから俺は(さて、どうしよう?)となる訳だが。


「牧田の奴、本当に沙紀へと危害を加えるかな?」


 俺がまた、ダラダラ思案を始めだし。


 沙紀の許へといくべきか? いかざるべきか? を思案していると。


 翔子の奴が苦笑いを浮かべつつ。


 牧田の奴が沙紀に対して、本当に危害を加えるだけの根性があるのか? と。


 苦笑いを浮かべながら。


 この場にいる者達へと訊ねると。


「解らない」


 幸が自身首を振れば。


「今スマートフォンがあるから怖い」


 加奈が、ぼそりと呟く。


「ああ、山本さんの言う通りだよね。沙紀の裸体ややられている最中の動画なんかを牧田に盗られたら。あいつの事が嫌いでも奴隷になるしかないよね」


 蘭が加奈に続いてにへらと笑いつつ呟けば。


「和也、お願い」


 何だかんだと俺のことで。


 言い争いをする二人だけれど。


 やはり蘭はいい奴だから。


 幼馴染のことが心配で仕方がないみたいで。


 俺の目を見詰めつつ、無言で。


『沙紀の事をお願い』と嘆願をしてきた。


 だから俺は蘭に。


「蘭悪い俺のカバンを持っていてくれ」と告げ。


「蘭と加奈の二人は先に塾へといっていてくれぇ。俺は多分遅れると思うから。塾先に山田は用事で少し遅れると伝えていてくれぇ、お願いだから」


 俺は蘭と加奈に告げると。


 自身が持つカバンを蘭へと手渡すと。


「じゃなぁ、頼む」と告げ、踵を返し。


 今まで歩いてきた道を逆戻り。


 それも駆け足で、慌てふためきながら、沙紀の許へと向かう。



 ◇◇◇





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