第237話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (9)

 それでも沙紀の奴は。


「大丈夫だから」と。


 自身の首を振るから。


 俺も諦めて。


「じゃ、先に帰るな」と、沙紀に告げ。


「じゃ、みんな帰るか?」


「うん」


「帰るじゃなくて塾でしょう?」


 蘭の奴がケラケラ笑いながら呟くと。


「山田~、うちや幸も途中まで一緒に帰っていい?」


 翔子の奴が訊ねてくるから。


 俺は「いいぞ」、


 そして「一緒に途中まで帰ろう」と、翔子に告げれば。


 みなは沙紀を教室に置いて扉へと向けて歩き始める。


「翔子、それはそうと? 山下のことはどうするの?」


 そんな最中に、幸が小首を傾げつつ翔子へと問えば。


「う~ん、未だ考え中……。山下と付き合うか、どうだかは、わからないから。一緒に帰らなくていいよ」


 幸の問いかけに対して翔子がにへらと笑いながら言葉を返す。


「そうなんだ?」


「うん」


 翔子が歩きながら頷く。


「でっ、実際のところは、どうする訳?」


 翔子と幸の会話に蘭が割って入り、山下のこと。


 そう実は?


 彼女が欲しい。


 和也、誰か紹介をしてくれ、お願いだ! と。


 俺に嘆願をしていた山下なのだが。


 俺が絵美は女子高だから聞いてみてやるよと告げると。


『ちょっと待って、和也~。元々彼女に頼むくらいならば。うちが翔子か幸に聞いてみてあげるから』と言うことになったのだ。


 そう、蘭からしてみたら。


 俺と絵美が余り仲良くなるのは面白くない。


 だから自分の友達を紹介する。


 まあ、直人の時と一緒だよ。


 直人の彼女も蘭が紹介をしたのだ。


 だから蘭が翔子と幸へと山下のことを問えば。


 幸の方は、広島を出て県外の大学へといくから。


 今お付き合いをしても直ぐに別れるようになるから。


 今彼氏はいらないと言うことになり。


『じゃ、翔子はどうかなぁ?』


 蘭がニコニコと訊ねれば。


『う~ん、そうだね。山下か~。どうしよう?』と言うことになってさ。


 だから蘭が山下の件で気になるから。


 下駄箱でスニーカーに履き替え。


 また歩きだした俺達だけれど。


 蘭の奴が翔子へと歩きながら訊ねると。


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