第236話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (8)

「さぁ~て、今日は塾か」と。


 自身の身体を伸び~、背筋を伸ばし、夕方から夜まである塾の英気を養う俺だよ。


 でっ、俺自身、伸び~、が終われば。


 俺の隣の席──。


 沙紀へと視線を変え。


「沙紀、バス停まで送って帰ってやるから一緒に帰るだろう?」


 俺は沙紀へと訊ねると。


「うん、そうしたいんだけど。今日はね、担任の先生に直ぐに話しが終わるからと言われて、進路の件で呼ばれているから。今日は一人で帰るよ」


 沙紀の奴が俺に微笑みながら告げてきた。


 でも俺自身、あの日。


 あの時。


 そう、牧田の奴が沙紀の許へと訊ねてこなくなった日から。


 俺は、だけではなくてね。


 蘭と加奈の奴も。


 牧田が沙紀のことを憎悪を含んだ目で睨みつけているのを。


 あの日……。


 そ、牧田の奴が沙紀の罵声により。


 俺達クラスの高笑いの種になった日に凝視しているから。


「新宮寺さん、一人で大丈夫?」


 加奈が問えば。


「沙紀、終わるまで待つよ」と。


 蘭が心配した顔で訊ねると。


「うちや幸は、塾が違うから。今日はお休み。だから沙紀、うちと幸が教室で待っていようか?」


 自身の目の前で怒りをあらわにし。


 ワナワナと震えていた牧田を見ている翔子が沙紀へと訊ねると。


「沙紀、蘭や翔子の言う通りだよ。牧田が何かしてきたら本当に大変なことになるから。私と翔子で沙紀のことを待つよ」と。


 幸の奴も沙紀のこと。


 アイツの身体を心配して告げる。


 でも沙紀の奴は。


「うぅん、いいよ」と。


 アイツは自身の首を振り。


「和也や蘭、山本さんは塾があるから先に下校してお願いだから」と。


 俺や蘭、加奈へと微笑みつつ告げれば。


 翔子と幸へと視線を変え。


「二人ともありがとう。私は大丈夫だから。先に帰っていて、お願いだから。一応先生は直ぐに終わるとは言ってはいたけれど。実際のところはわからないから」と。


 やはり沙紀の奴は、翔子や幸へも微笑みつつ。


 自分は大丈夫だと告げるのだが。


 あの日を境に俺は。


 沙紀の奴をバス停まで送るぐらい細心の注意をしているから。


「沙紀、お前本当に一人で大丈夫なのか?」と。


 俺は沙紀へと告げ。


「俺、塾の方が遅れてもいいからさ。教室でアプリゲームしながら待っていてもいいぞ」とも告げる。






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