第234話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (6)

「山田さんは、どうなの?」


 加奈が、不満があるのか、ないのか。


 それとも怒っているのか、笑っているのかわからない。


 無表情で問えば。


「えっ! うち?」


「うん」と、加奈が頷くから。


「和也、どうだろう?」と。


 蘭が話しを振ってくるから。


「う~ん、どうだろう? 蘭もプロレスは加奈と一緒でMじゃないのか?」


 俺が呻り、悩み。


 蘭へと言葉を返せば。


「ふぅ~ん、そうなんだ?」と。


 加奈は余り興味がなさそうに呟くから。


 加奈、お前なぁ~。興味がないならば。最初から蘭に対してくだらないことを聴くなよな。


 後で絶対に加奈がヒッ、ヒィ~よ牝馬の如く鳴くまで、絶対に叩き続けてやると思っていると。


「和也、話しを誤魔化さないでよね。昨日、私とのプロレスの後に言ったわよね。前の彼女が求婚を迫っているって」と。


 沙紀の奴が相変わらずに涙目で、蘭と加奈がいるにも関わらず。


 俺の前の彼女絵美のこと……って。


 俺の前の彼女はこいつ! この馬鹿! 沙紀の奴だから!


「前の彼女は絵美ではなく。沙紀、お前だろうが?」


 俺が沙紀に対して、苦笑いを浮かべつつ告げると。


「私は和也の前の彼女じゃないもん。今カノだもん」と。


 プイ! だ。


 沙紀の奴は!


 昨日、あれだけ、俺は沙紀の奴に寝技をかけ、シクシクと泣かしてやったのに。


 フン! フン! と鼻息荒く。


 俺へと悪態をつてくるから。


「沙紀、お前も加奈と一緒で、尻叩きの刑にするぞ。コラァ~!」と。


 俺が呻り、告げれば。


「いいわよ。和也! するなら、しなさいよ! またプロレス、受けて立つから」と。


 この馬鹿、阿保は。


 俺に荒々しく言い返すとファイティングポーズまでとるから。


「ファイト!」


 直人がケラケラと笑いつつ、リングのゴングを鳴らすから。

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