第229話 高校三年生になれば、こんなにも怒ることがあるのかな? (1)
「おっ! 新宮寺の彼氏様のお出ましだぞ!」
「あっ、本当だ!」
蘭の奴がいつもの如く調子でケラケラと笑いながら。
そう、自身の顔色を変えている牧田……
昨日、カラオケの最中に逃げられた魚……。
まあ、魚と言っても沙紀の奴だけれど。
牧田が自身のバスケ部のツレ達や翔子、幸の奴へと嘆願をして。
沙紀の奴を、自身の真横。
自分の彼女のように座らせ仲良く。
それも身体の触れ合いをさりげなくしては。
もっと二人の仲を親密にして、あわよくば。
そのままお家、自身の部屋へとお持ち帰りをするか?
まあ、できなければ。
女に家の近くまで送っていくよと伝え。
そのままラブラブ気分で、仲慎ましく帰宅……。
その最中によい雰囲気……。
二人だけの世界を創り、キス……。
チュチュの世界を創り。
更にいけるようならば。
物静か……。
人気のないところで、自分達の声を殺しつつ野外……。
まあ、こんな感じのプランを牧田は考えていたのかな?
俺自身も牧田本人ではないから、よくはわからんが。
中坊の頃の俺ならば。
これぐらいのことはするかな? と思いつつ。
牧田と沙紀の様子を窺うと。
牧田は俺達の教室へと入るなり。
慌てて沙紀が不貞腐れて座る席の前……。
そう昨日、沙紀に起きた出来事を。
翔子と幸の二人へと不快感をあらわにしつつ。
不満を漏らしているところへと。
牧田は到着すると。
自身の両手を顔の前で合わせ。
「新宮寺、昨日は俺が悪かったよ。俺自身、まだ新宮寺へと告白すらしていなし。その返事も貰っていないのに。もう新宮寺を俺の彼女みたいに扱ってしまってごめんなぁ、許してくれよ。お願いだ!」
牧田は沙紀に対して平に、平に謝罪をした。
でっ、し終えれば。
まあ、ここであいつ、牧田が言う! 告げる!
沙紀へと漏らす言葉は只一つだから。
「新宮寺、今更のようで悪いのだけれど。改めて言います、と言うか? 何度目だろう?」と。
牧田の奴は、不機嫌極まりない沙紀の御機嫌をとろうと必死にギャグネタ。
笑い誤魔化しながら。
「新宮寺、俺と付き合ってください!」と。
俺のクラスのみなが注目する中で。
威風堂々と沙紀へと告白をした。
だから俺は直ぐに、自身の脳裏で。
(ああ、牧田の奴可哀想に……。慌てて沙紀の身体にガックからだ!)と。
意地悪く思いながら見ていると。
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