第225話 元カノがこんなにも面倒な奴だとは思わなかった! (6)
「…………」
「どうしたの、和也? 何で黙り込んでいるの?」と。
「何か遭ったの? 私の顔を見た瞬間に。大変に驚いた顔をしていたけれど?」と。
自身の小首を可愛く傾げる美少女……。
こいつ、いつ、ツインテールにしたんだ? と思う俺は。
「何でお前が家にきたんだよ? 帰宅の方向が全然違うじゃないか? それといつツインテールにしたんだ?」と。
少しばかり脳内を桜色……。
絵美の奴が部屋に入ってきたらどうしよう?
今の俺は理性が飛びそうな、盛りのついたオス犬、オス猫だから。
絵美の奴を久し振りに。
『いただきます!』するかも知れない? と少し。
まあ、本当に少しだけ! 一ミリぐらいは淡い期待に胸を躍らせ弾ませていた俺だけれど。
いざ部屋の扉を開け入ってきては。
最初はモジモジ、ソワソワと。
大変に照れ臭そうな顔をしていたアイツだけれど。
俺が余りにも無反応で黙り込んでいるから怪訝な表情で。
この俺さまに。
『どうしたのか?』と訊ねてきたけれど。
怪訝な表情で訊ねたいのは。
沙紀の阿保ではなく俺だから。
俺は沙紀へと何で家にきたのか?
いつツインテールにしたのか? と訊ねた。
だってぇ~と、言うか?
まあ、俺も沙紀の奴をまたうざいからと着信拒否にした時から。
アイツがいくら俺の隣の席だろうとも無視──。
素知らぬ振りを続けてきたから。
もしかして俺が、ちゃんと沙紀の容姿を凝視していないから気がつかなかっただけかも知れないけれど。
う~ん、それでも?
今日帰り間際に沙紀の後ろ姿をチラリと見た時に。
コイツ、ツインテールだったけぇ、なぁ? と思いつついると。
「牧田君がね、私ツインテールが似合うと思うから。してくれと言われたからしたの。どう、和也似合う?」と。
この馬鹿! 阿呆!
まあ、俺自身、本当に頭にくると言うか?
コイツ、沙紀の奴は一体何を考えているんだ?
ツインテール?
牧田が、沙紀がすれば似合う、可愛い。
だからツインテールにした。
そして牧田に褒められた。
だから俺にも褒めてくれって!
自分の彼氏自慢とラブラブ自慢をするために。
着信拒否している元々彼……。
じゃないか?
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