第224話 元カノがこんなにも面倒な奴だとは思わなかった! (5)

「あらぁ~、久しぶりね。和也ならば二階にいるわよ」と。


 家のお袋さまの大変に明るい声、台詞が俺の耳……。


 そう、下の部屋──玄関へと。


 己の気を集中させ、聞く耳を立てている。


 俺の耳へと聞こえてくるから。


(家に俺を目当ててで、訊ねてきたのは誰だろう?)と。


 自身の首を傾げながら思う。


 だって家のお袋さまが玄関で、お久しぶりだと相手に告げると言うことは?


 由美ではないと言うことになるから誰だろう? と。


 俺は瞬時に思うと。


 自身の脳裏で瞬時に思い浮かべるのは。


 もしかして俺の元々彼女の絵美の奴ではないか? と思うのだった。


 だって以前、家のお袋さまが。


 絵美の奴とよく会い、話しをするのだと。


 俺に言っていたことを思い出す。


 そしてあいつ、絵美の奴が。


 俺のことを訊ねていたことも思い出してしまうと。


(や、やばい……。こ、こんな時、と言うか? 俺の只今の状況と言うか? この火照った身体の状態で。俺が絵美と逢うのは、由美よりもマジでやばい。俺の理性が絶対に止まらんと言うか? マジで押し倒してしまいそう。いくら久し振りに逢って会話をするにしても。絵美の場合は本当に不味いと思うから。どうしよう?)と。


 俺が自身の頭を更に抱え始めると。


「和也は部屋にいるから上がってぇ~」と。


 家のお袋さまの明るい台詞と。


「おじゃまします」


 女子の小さな声音での台詞が。


 俺の耳へと聞こえたから。


 ああ、俺の独身貴族生活の終焉がきたかも知れないと、覚悟を決めることはできない。


 俺は蘭と加奈との約束もあるから。


(う~ん、さて、どうしたらいいだろうか?)と脳裏で呟き。


(絵美の奴に、どう説明をしたらいいかな?)と。


 俺は呟きつつ、考える人へと変化をすれば。


 ミシ、ミシと階段を昇る足音──。


 俺の部屋へと向かってくる足音が、段々と近づいてきて。


 トン! トン! と。


 俺の部屋の扉を叩くから。


 俺は致し方がないと覚悟を決めて。


「どうぞ~」と。


 俺の部屋の扉の前に立つ奴へと。


 俺は部屋の中。


 愛の巣へとお入りくださいと告げた。


 ◇◇◇






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