第207話 高校三年生になれば、元カノのモテ期は未だ続くようです? (1)

「山田~? 今日もお前の椅子使わせてもらってもいいか?」


「ん? ああ、別にいいぞ。ごゆっくり」と。


 俺は牧田に告げると。


 自身の席を立ち移動……。


 直人や山下達がいる席へと向かう。


 まあ、向かえばね。


「和也、私も行く」と。


 加奈の奴も立ち上がり。


 俺の背中、後方へとついてくる。


 と、なれば?


「和也と山下さんちょっと待ってよ。うちも行くからちょっと待って」と。


 蘭の奴も慌てて自身の席を立ち、慌てて。


 俺と加奈の背を追いかけてこようとすれば。


「えっ! 蘭! ちょっと待ってよ」と。


 沙紀の奴が顔色を変えつつ、慌てて蘭の腕を掴み──。


 自分を置いていかないでくれのアピールを無言──。


 自身の瞳で訴えかける。


 だからあいつ、にやけ顔の牧田の口が開き。


「大田~、偶には、俺とも話しをしようぜ。なぁ、良いだろう?」と。


 牧田は蘭へと嘆願をする。


 でも蘭の奴は作り笑い。


 苦笑いを浮かべつつ。


「沙紀、ごめんね。うち和也のところにいくから翔子や幸、牧田と四人で仲良く話しをして、ごめんね」と。


 蘭は沙紀に手を合わせ、拝みながら告げる。


 だから沙紀の奴の口が開き。


「えぇ~」と。


 蘭への不満が。


 何で自分を置いて和也の許にいくの、蘭~。


 それって汚いよ~。


 卑怯~! とでも言いたい顔。


 不満のある顔で沙紀は蘭のことをプンプンと頬を膨らませながら見詰める。


 それでも蘭は、「あっ、はははっ」と笑って誤魔化しながら。


「沙紀と牧田ごめんね」と再度謝罪をすれば。


 牧田に対して好意的である翔子と幸の方を見詰め。


「翔子と幸。後はお願いね」と。


 二人へと蘭は微笑みながら告げると。


 あいつも慌てて、自身の席を立ち──。


 俺と加奈の背を追って──直人の席へと慌てて駆けつけてくる。


 お昼……。


 大休憩の様子がね。


 あの日……。


 牧田が俺に席を少しの間譲ってくれ。


 使わせてくれと嘆願してきた日……。


 沙紀の奴にエッチィな下着を購入してやるとの約束を交わした日……。


 その次の日から続いているから。


 俺と沙紀が一瞬でも仲直りをした?


 寄りが戻った? と思っていた。


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