第206話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (31)
それに確かに沙紀が言う通りで。
そう言えば。そんなこともあった気がするけれど。
沙紀にしな垂れかかられて、甘えられると。
俺の理性が持たないから直ぐに離れた。
でもこれも仕方がないことだと思う?
だって俺に避けられたくなければ。
『沙紀、お前も泣くなよな』と。
『我慢をしろよなぁ』と言いたくはなる。
でも、そう言う訳にはいかない。
まあ、いかないよね。
言ってしまえばそこで終わり。
と、言っても。
言わなくても終わってしまった。
俺は捨てられたからね。
と、考えれば。
これ以上沙紀の奴と戯れ、じゃれ合うのは無用……。
やるだけ無駄。
まあ、無駄な行為だ。
それにそろそろ、お昼の大休憩──。
みんなの楽しいランチのお時間も終焉を告げるベルが鳴り響く時間だから。
「ああ、沙紀わかった。わかったよ。加奈にも購入するんだから。沙紀にも買ってやるよ。それでいいんだろう?」と。
俺の御元を噛む行為は取り敢えず、辞めてはいる沙紀の奴だけれど。
俺の背から抱きつき、甘える行為は相変わらず続けている。
そんな沙紀の奴を俺は、自身の腕で軽くあしらいながら告げ。
そして立ち上がると。
沙紀は立ち上がった俺のことを見上げつつ。
「うん」と。
アイツは満身の笑み浮かべつつ、嬉しそうに頷く。
だから沙紀の周りにいた蘭と加奈の二人が。
「沙紀、良かったね」と。
「新宮寺さん、嬉しい?」と告げ、訊ねれば。
沙紀の奴はまた満身の笑みを浮かべつつ。
「うん」と頷く。
そんな沙紀や蘭、加奈の様子を窺いつつ俺は。
「そろそろ、お昼の休憩が終わるから席に戻るか?」と告げると。
自身の腹を抱えながら笑っていた直人と。
「ああ、良いなぁ、和也は……。俺も彼女が欲しいな」と。
天井を見詰めつつ嘆いている山下の奴へと。
「じゃ、二人とも、俺席に戻るから」と。
俺は手を振りつつ移動──。
牧田がいなくなった自身の席へと。
俺はゆっくりとした足取りで戻っていく。
◇◇◇
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