第187話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (12)

「えぇ、そうよ。二人とも悪いかしら? 私が和也へのストーカー行為をするのは?」と。


 加奈の奴はいつもの調子で顔色変えずに。


 俺へのストーカー行為を本当にしているのか?


 していないのかは?


 俺自身にもよくはわからないけれど。


 加奈の奴は直人と山下の二人へと。


 俺へのストーカー行為をしては駄目なのか? と訊ねるから。


「べ、別に悪くはないけれど」と。


 直人がまた苦笑いを浮かべつつ、言葉を返せば。


「和也が良いのならば。俺は良いとは思うけれど」と。


 山下が加奈へと言葉を返し、俺の方をチラリと見て──。


『和也、お前は。山下にストーカーされて本当に良いのか?』と無言で問いかけてくる。


 だから俺は山下と直人も含めて。


 いいのか?


 悪いのか? の判断の言葉を返そうと試みる。


「和也は別に構わないわよね? 私が和也にだけストーカー行為をしても?」


 加奈の奴は、俺が直人と山下へと言葉を返そうとすれば。


 加奈は俺の顔を無表情見詰めつつ、釘を刺してきた、


 だから俺は「うん」と頷き。


「大丈夫」と言葉を返す。


 俺自身も何が大丈夫なのかは、実際のところはわからないけれど。


 理系の医学部志望……。


 手術や死体を見ても平気だと。


 平然と告げることのできる加奈に冷たい目で見詰められると。


 俺はマジで背筋が冷たくなり。


 震え慄いてしまうぐらい。


 加奈は本当に恐いのだよ。


 それにさ、沙紀には言ってはいないのだが。


 俺の部屋にあった沙紀との思い出のプリクラ写真や普通の写真は。


 加奈が俺の部屋へとお見舞い……。


 俺が沙紀にフラれ、捨てられたショックで心傷になり。


 登校拒否の最中に、加奈が家へと。


 俺の部屋へと来訪してきた時に。


 俺が部屋を空け、下の部屋でコーヒーを焚いて、入れている最中に。


 加奈が全部、自身の用意をしたペイントマーカーを使用して、沙紀の顔を全部塗りつぶしたから。


 全部破棄、処分をしたから。


 俺の手許には、もう沙紀の写真は一枚も残っていない状態でね。


 そんなことを平然とできるこいつ、加奈のことが。


 俺は本気で怖いから。


 これ以上は、直人と山下へと言葉を返せないでいると。


「女も男も。好きな相手にはストーカーみたいなものじゃない?」



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