第184話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (9)

「へぇ、そうなんだね」と。


 加奈の奴は相変わらずと言うか?


 無感情と言うかね?


『へぇ~』、『へぇ~』と本当に感心しているのか? していないのか? わからない声を出しつつ、終わればね。


「だから新宮寺さんは、何だかんだと色々あっても和也の許へと戻ってくるんだね。新宮寺さんにとって和也が特別な存在。初めての彼氏だし。和也が忘れているだけで。彼女なりの初めてが沢山あるから。どうしても和也の事が忘れる事が出来ないんだ。新宮寺さんは……。うふっ」と。


 加奈が最後に意味深に微笑むと。


「うん、山本さんの言う通りかもね。うふっ」と。


 蘭も俺の顔を見ながら意味深に笑うから。


「フン!」と俺は鼻息を荒く立て──。


 蘭や加奈から視線を外し、そっぽを向き、不貞腐れた表情……。


 そう、ラブコメ仕様のアニメ、マンガ、ライトノベルのヒーローさま達

 のような、振る舞いで。


 俺は蘭と加奈の二人へとツン、ツンとしてやると。


「どうした和也、何を不貞腐れているんだ?」と。


 この場の状況をわかってくれない山下が、自身の首を傾げながら俺に訊ねてきた。


 だから直人が山下の台詞を聴き。


「わっ、はははっ」と、笑い始めると。


「ん? どうした、直人? 何が可笑しのだよ?」と。


 山下は困惑しながら直人へと問えば。


「上田が笑い始めたのは。和也がうちと山本さんから遠回しに沙紀の件で。自身の都合の悪くなることを言われて、言い返すことができないから。不貞腐れ、拗ねているのよ。山下」と。


 蘭がケラケラと笑いつつ、山下へと告げると。


「ん? 何で、だ? 和也と新宮寺は清い交際だったから何もないはずだろう?」


 山下は『?』、『? ?』と、自身の首を何度も傾げつつ、蘭へと問い返せば。


「それってさ、沙紀が言うには。一年生の夏休み以降の話しで。それまでの和也は。やはり何となく、女性慣れしているような感じの男子だったみたいよ」と。


 蘭が山下に説明をするから。


「そ、そうだったんだ。俺はてっきり和也と新宮寺は手も繋いだこともないような、清い関係だと、ばかり思っていたよ」と。


 山下が独り言のように呟くと。



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