第182話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (7)

「へぇ~、そうなんだ。和也と牧田って、そんな事があったんだ」と。


 蘭が感心しながら俺や直人、山下へと呟くと。


「だから、先ほど上田と山下の二人が、慌てて和也に声をかけ、自分達の席へと移動して話しをしようよと、言ったんだね」と。


 蘭がケラケラ笑いながら直人と山下の二人へと訊ねると。


「うん」と直人が頷き。


「ああ、そうだよ……。だって和也の奴、また牧田に対して不機嫌な顔をしていただろう?」と。


 山下が俺の斜め前の席で。


 後ろを振り向きながら会話をしていた蘭へと告げると。


「ああ、確かに今考えると。和也の顔色って結構変わっていたわよね」と。


 蘭が自身のシャープな顎へと、自身のしなやかな指先を当てつつ。


 天井を見ながら呟き。


 そして終われば。


「……でも、うち、その話し、沙紀から聞いていないけれど」と。


 蘭が天井を見詰めながら考える人へとなる行為をやめて、俺へと訊ねる。


「ああ、それは大田……。和也が新宮寺に言っていないからだよ」と。


 直人が蘭へと説明をすれば。


「何で和也は沙紀に、牧田と言い争いになった。喧嘩になりそうになったのだと言わなかったの?」


 蘭が直人の説明を聴き、首を傾げ訊ねてくる。


 だから俺は蘭へと。


「いや、牧田と喧嘩になりそうになったことを。新宮寺の奴へと、一々調子に乗って報告することでもないだろうと。あの時の俺は思ったから。その時は言わなかった」と。


 にへらと笑いつつ説明をすれば。


「和也は要するに、新宮寺の口から、親の耳へと入り。和也が新宮寺の両親から変な目で見られたくないから黙って、隠し通しているんだよ」と。


 直人が蘭へとケラケラ笑いながら告げると。


 山下の口も開き。


 直人と同じようにケラケラ笑いつつ。


「そう、そう」と頷けば。


「そうなんだ。和也って、そんなに喧嘩早いんだね。うちは知らなかったし。そんなイメージもなかったなぁ」と。


 蘭が俺の顔を、今更のように真近くまで、自身の顔を寄せながら。


 ジロジロと見て、ニヤリと微笑むから。



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