第178話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (3)

 俺とは犬猿の仲と言ってもいい男子だからね。


 俺が『はぁ、何だ、お前? 俺に席を譲れ、って、喧嘩を売っているのか?』と。


 牧田の奴に唸りながら吠え! 噛みついてやろうとしたら。


 俺と牧田の奴が犬猿の仲だと知っている直人と山下の二人が。


 俺の肩に手を当て──。


「和也、俺達の席へと行って話そうか?」


「和也、直人の席へと行こうぜ。牧田が新宮時達と話しがしたいみたいだから。邪魔するのは良くないから、直人の所へと行こうぜ」と。


 俺と牧田がいつものように言い争いや。


 首元の襟の掴み合いにならないようにと。


 二人が気を使って、ガキみたいなところが未だ抜けきれない俺へと声をかけてくれた。


 だから俺は親友の直人や山下の話しを聞き入れ、了承──。


「うん、わかった。直人の席へと移動しようか」と言う話になり。


『……ん? ああ、別にいいぞ。俺は直人達のところへといくから』と、言った話しになり。


 自身の席を立ち、いけ好かない牧田に。


「ほら、牧田退いたぞ。俺の席を使うなら使えよ」と告げ。


 俺よりも先に踵を返し、自身の席へと向かった直人と。


 直人の背をついて歩く、山下の背を俺も席を立てば踵を返し慌てて追うをとすれば。


「和也……」と。


 沙紀の奴が大変に切なそうな顔……。


 そう、何で自分のことを牧田の側へと置いていくのか? と。


 沙紀の奴は俺に言いたい顔……。


 と言うよりも?


 沙紀の奴は無言で、自分のことを置いていかないで告げてくるのだが。


 まあ、皆も知っての通りで。


 俺は沙紀の元々彼氏であって、彼氏ではない訳だから。


 牧田に対して、


『お前何? 俺の女に手を出しているんだ?』と以前……。


 前……。


 俺等が未だ、ピカピカの高校一年生の時のように牧田へと。


 俺が憤怒しながら怒声を吐く訳にはいかなし。


 あいつ、牧田自身も。


 そのことを承知の上で。


 沙紀の奴へと、俺の目の先でチャチャをかけてきた訳だから。


 まあ、沙紀の彼氏ではない俺は、この場を立ち去るしかない訳だから。


 沙紀の奴へと。


「じゃな、沙紀。俺は直人達のところにいくから」と。


 俺は、此度は珍しく、沙紀のことを【神宮寺】と呼ばずに。


【沙紀】と名指しをして、この場を去る──。













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