第176話 高校三年生になれば、モテ期の元カノが更にモテ期に? (1)

「山田ちょっと悪い。席いいか?」


「……ん? ああ、別にいいぞ。俺は直人達のところへといくから」と。


 俺達のクラス、教室へと、いきなり無言で入ってきた。


 そう何か食わぬ顔でニヤニヤと薄らわらいを浮かべつつ、侵入してきた奴……。


 大休憩時間の、ランチのお時間も終わり。


 俺達の教室内も仲の良い者同士で固まり和気藹々と雑談……。


 だから教室内がワッと喧騒の中にある最中に。


 そいつ! 


 あいつ!


 俺が以前から気に入らない奴。


 そう俺が、そいつの首元を掴んで──一発ぶん殴ってやろうか、と思っていたニヤケ面……。


 そう、学園では一応は校則違反となる間食……。


 自身の口にチューインガムを入れ。


「クチャクチャ」と調子よく、食音を立てながら。


 家のような真面目な学園で、自身の、紺の詰襟の学ランの、前ボタンを全部外し、中の開襟シャツも。


 全部学生ズボンから曝け出し。


 だらしなく着込んでチョイワル?


 いや、ヤンキーかな?


 まあ、どちらでもいいけれど。


 偏差値の高い家の学園で、威風堂々と気取るなよ、と。


 俺が思わず高笑い。


 嘲笑いをしたくなるような男子がね。


 自身のズボンへと両手を入れながら、ニヤニヤと俺の方へと向かって歩いてくるから。


 今まで喧騒の最中にあった家のクラスがいきなりシーンだ!


「…………」とね。


 そして俺の方へとヤンキーを気取りながら歩き、向かってくるいけ好かない男子……。


 そうバスケ部の主将をしている牧田の阿保へと皆が注目──。


 俺の真横の席になったことで、以前のようにギャギャと口煩くなった沙紀や。


 俺の斜め前の席に座る蘭や斜め後ろの加奈……。


 そして俺の席へと遊びにきて、仲良く雑談をしていた直人や山下達も一斉に。


 牧田の奴へと沈黙しながら見詰めていると。


 怪訝な表情をしながら、あいつを見ていた俺の前へと。


 牧田が到着すればこの通りだ。


 俺に席を譲ってくれと嘆願をしてきた訳だよ。









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