第174話 高校三年生になれば、廊下に立たされることもあるらしい? (8)
まあ、漏れるけれど。
これだけは致し方がないと言うか?
俺は何度もアイツ、沙紀の奴から。
あの男!
家庭教師の癖にさ、自身の教え子にあっさりと手を出した阿保な大学生との仲──。
そう、ユーノスロードスターのオープン仕様にした状態で。
二人が車内で仲良く寄り添いながら和気藹々……。
仲慎ましい様子をあの馬鹿! この阿呆!
只今俯き、またシクシクと嗚咽を漏らし始めた沙紀から、当てつけがましく魅せつけられているのだ。
だからいくら二人……。
蘭と加奈が、自分達のように。
俺へと沙紀が甘えてくる時に怪訝な表情をするな。
不快な様子もしないで温かい目で見守ってやれと言われても直ぐには無理だと言うか?
時間が経っても解決してくれるかどうかはわからない。
だって俺は沙紀に対して、それぐらい不信感を募らせているし。
あの男、あの大学生に対しての嫉妬心も抜けないから無理だと。
蘭と加奈、沙紀に言いたいところではあるのだが。
今の俺は先ほども説明した通りで、蘭と加奈には頭があがらない状態だから。
沙紀の件はどうでもよいが、二人をこれ以上怒らせて、無視をされるのは流石に辛いので。
「努力はするよ……」と。
俺は相変わらず子供のようにそっぽを向きながら、沙紀と蘭、加奈の三人へと小声で告げ。
「沙紀」と、アイツのことを名指しで呼び。
「俺、努力はするけれど。余り期待はするな……。だから沙紀、俺以外の彼氏をつるように努力はしろ」と。
俺は沙紀には一応は告げておいた。
もう、既に何もかもが遅いのだとね。
だって今の俺は、蘭と加奈、由美が余りにも尽くし、労い、甘やかしてくれるから。
沙紀と彼氏、彼女の関係でいた頃よりも断然に心地がよい状態だから。
今更俺を裏切ってまで他人の物になった。
俺からしてみれば大変に居心地の悪い沙紀が戻ってきても。
俺の側には沙紀の居場所などないのだと遠回しに告げる。
まあ、俺も一言も、二言も多いいことを沙紀の奴に言わなければいいのだが。
俺自身がまた告げたから。
「うぁ~ん、うぁ~ん」
『ピィ~、ピィ~』と泣き始めたよ。
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