第172話 高校三年生になれば、廊下に立たされることもあるらしい? (6)

「本当だよ。大田さんの言う通りだよ」と。


 蘭の俺を揶揄するような意見に対して加奈の奴も納得し、同調をするから。


「お前ら二人。いい加減にしろよ」と。


 俺が蘭と加奈に対して呻るように言葉を漏らせば。


「和也は黙っていて」と。


 俺は加奈の華奢な掌で口を押さえられた上に。


「和也、静かに! 今は授業中!」と。


 俺は蘭に何故か叱られたのだ。


 直ぐにガミガミと煩く、呻りながら、吠えるから。


 黙れと告げられる悪態を受けたから。


 俺の口を塞ぐ、加奈の華奢な掌と腕を強引に振るい始め。


『お前ら二人いい加減にしろ! これ以上俺に対して悪態を続けるのならば。お前達二人は折檻だ! 俺がお前ら二人の生尻をぺんぺんと叩き、真っ赤に腫らしてやるからな! 覚悟しろよ!』と。


 俺は二人に対して、もうこれ以上は呻り、反抗をすることなどできない。


 そう、俺が以前沙紀とおつき合いをしていた時と同じだよ。


 俺は何だかんだと言いつつも。


 蘭と加奈の尻に敷かれている状態だと言っても過言ではないからね。


 これ以上俺は独りで、ワァ、ワァと大騒ぎをすることなどできない。


 だから「はい」と二人へと言葉を返し、大人しくすれば。


「今からでも神宮寺さん、遅くないんじゃないのかな?」と。


 この少女ひとがまたと言うか?


 まあ、相変わらずと言うか?


 大変に下ネタ……。


 いつも高校生らしくない台詞を加奈は、平然と口にだすから。


『加奈いい加減にしろ!』と。


 俺は加奈に自身の口を押えられていても気にすることもなく。


 加奈の奴に不満を漏らそうとすれば。


「山本さん……。もう私は和也には言ったよ。私のことを好きにしていいから。私のことを許して欲しい。私の許へと帰ってきてくれと嘆願したよ。でもね? 人前……。そう、五月五日に、広島原爆資料館の前で和也に罵声を吐かれて。私、おもいっきり泣いちゃったんだよ。和也が凄く怒るから」と。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る