第170話 高校三年生になれば、廊下に立たされることもあるらしい? (4)

 だから俺はね、直ぐに自身の顔色を変えてしまったよ。


 まあ、こんな感じでさ。


「お、おい! 加奈! お前ちょっと不味いって。今は授業中だし。俺達廊下に立たされているんだ。だから不味い」と。


 俺は慌てふためいた様子でね。


 それもできるだけ大きな声を出さないようにしながら俺は、加奈へと諫めるように告げる。


「えぇ~、別にいいじゃない。他のクラスも授業中だから、先生達も慌てて出てはこないわよ。特に私達はもう三年生だから学校の方もさっさと授業を始め、終わらせ、三年生までの授業過程を全部終了させたいだけだから。先ほど担任の篠田先生が言っていた通りで。もう事を荒立てる気はないみたいだから。素知らぬ振りをしてくれるから大丈夫よ」と。


 加奈は「ふっ、ふふふっ」と。


 まあ、こいつらしいと言うか?


 加奈はいつもの様子でね、妖艶に薄ら笑いを浮かべながら。


 俺にしな垂れかかりどころではない。


 俺に抱きつき、沙紀や蘭に。


 俺達二人の仲を見せつけるように甘えるものだから。


「ちょっとそこの二人!」と。


 いつも加奈に出遅れる。


 と、言うか?


 なんだかんだと言いつつも、俺の件に関しては。


 自身の幼馴染に対して遠慮しながら、次の行動へと移る蘭だから。


 また加奈に出遅れながら、蘭が加奈へと不満を漏らせば。


〈タッ、タタタ〉と足音。


 そしてピトだ。


 でっ、その後は加奈を見詰めながら。


「山本さん、和也を返して」と言いつつ。


 俺に抱きつき、自身の方へと。


 俺の身体を強引に引っ張ろうとする沙紀へと俺は。


「沙紀、お前。俺に抱きつくなと言っているだろう。頼むから俺から離れてくれお願いだ」と。


 やはり俺は沙紀へと小声で。


 自分に抱きつくな。


 甘えるな。


 頼むから今直ぐ俺から離れ。


 距離をとってくれと嘆願をすれば。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る