第168話 高校三年生になれば、廊下に立たされることもあるらしい? (2)
「ひく、ひく、大丈夫。大丈夫だから山本さん。本当にごめんね。私のことで廊下に立たされるようになっちゃって本当にごめんなさい……」
沙紀は泣く自分のことを優しく労ってくれる加奈に詫びとお礼を告げる。
「うぅん、別に良いよ。神宮寺さん……。私自身も廊下に立たされるなんて初めての事だから。本当に新鮮と言うか? これが悪い子が良く、アニメや漫画で廊下に立たされると言う事なんだと思うと。私ドキドキ、ワクワクして嬉しいから、本当に大丈夫……」と。
ガキの頃から悪ガキで。
担任の先生にもよく叱られ、廊下に立たされていた俺とは違い。
小中高と優等生だった加奈は、冗談な顔ではなく。
本気と言うか?
真剣な顔で周りの様子……。
そう、いつもの授業の合間にある休憩時間の様子とは違い。
俺達の同級生達が廊下で、和気藹々と会話を弾ませなから騒めいている様子が。
加奈の両目、瞳に映らないので。
加奈は不思議でならないのだと、言わんばかりな顔──。
加奈はキョロキョロと廊下を見詰め。
他のクラスの様子も窺いながら。
「本当に静かよね」と感心……。
そう、あいつが独り言でも呟くように言葉を漏らせば。
「う~ん、そうだよね。うちも廊下に立たされるなんて、産まれて初めての経験だし。廊下に立たされるなんて、ドラマやアニメ、マンガ、小説の世界だけの、架空の事だと。うちは思っていたけれど。現実にある事なんだと初めて知ったよ」と。
家の大変に大人しい生徒達が、学び舎として通う。
この学園にしてみれば。
少しばかり目立つ、浮いて見える蘭の容姿……。
そう自身の髪に軽くパーマをかけ。
ドライヤーも長時間当てているのだろう?
少しばかり茶色く焼けた髪色の蘭も。
やはり加奈と一緒で、ガキの頃から優等生だから。
自身も加奈と一緒で廊下に立たされたことなどないから。
この静まり返った廊下の様子は大変に不思議で、興味深いと呟けば。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます