第167話 高校三年生になれば、廊下に立たされることもあるらしい? (1)

「うえぇ~、うえぇ~」と。


 廊下に立たされても、自身の両眼を華奢な両手で抑え。


 天を仰ぎながら泣き喚く、沙紀に。


「もう、沙紀泣かない」と。


 蘭の奴がハグ、抱擁を始めると。


「だって、だって」と。


 沙紀の奴が、お涙頂戴シーンのテンプレ台詞を漏らし始めるから。


 こんな場面の時の、女子達の団結力は本当に素晴らしいから。


 俺が沙紀の奴の横で、


(本当に困ったな……。どうしよう?)と。


 俺自身も沙紀の悪態のために泣いていたことを。


 俺自身がすっかりと忘れ、困り顔で。


 自身の頭をポリポリとかいていると。


「和也、そこ退いて」と。


 俺は加奈に言われて、


「えっ! あっ、うん。ごめん……」と告げ。


 沙紀の真横から移動した位置で廊下に立ち──反省を始めるのだが。


(う~ん、この歳になって、先生から叱られて、廊下に立つようになるとは、夢にも思わなかった)と。


 自身の脳裏で呟き。


(俺が先生に叱られて廊下に立つのって、小学生以来だな……)


 俺は自身の遠いい過去……。


 俺が未だ小学生のガキだった頃のことを懐かしく思い出せば。


(そう言えばあいつ……。絵美の奴は、俺が小学生の頃に、担任の教師に叱られ、廊下に立つ度に。教室内から、俺のことを心配しながら見てくれていたよな……)と思えば。


(まあ、そんな頃もあったよな、確か?)


 俺が自身の過去の想いで。


 ノスタルジックに慕っていると。


 俺が先ほどまで立っていた位置についた加奈が。


「うぇ~、うぇ~ん」と泣きじゃくる沙紀の背を優しく撫で始めながら。


「神宮寺さん大丈夫?」


 先ほど蘭が沙紀へと告げた優しい台詞を。


 今度は加奈が沙紀へと労わるように告げ。


 沙紀の背中を優しく撫でてやると。


「うん、うん」


 沙紀の奴は泣きながらだが。


 加奈の呼びかけに反応を示し頷くと。




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