第166話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (19)

「えっ、あっ、あの、ごめん。ごめんなさい、和也……。わ、私そんなつもりと言うか……。私別に和也のことをまた傷つけ、苦しめるつもりで言ったんじゃなく。只……。私も蘭や山本さん、由美ちゃんのように。和也に振れて甘えたいだけなのと、不満を言いたかっただけなの……。だから本当に和也をまた苦しめるつもりは本当になくて……。ごめんなさい……。ごめんなさい和也……。うぅ、ううう」と。


 俺の涙、嗚咽に続くように。


 今度は沙紀の奴まで、自身の両眼から涙をポロポロと落とし、嗚咽を漏らし始めるから。


 俺と沙紀、蘭に加奈と。


 四人の周りにいるクラスメイト達だけではなく。


 教室内にいる全てのクラスメイト達が。


 嗚咽を漏らす俺と沙紀に注目を始めだし、騒めき始めだす。


 となれば?


 只今は授業中……。


 ホームルームの最中だから。


 俺達の教室内には生徒達だけではなく。


 俺達四人の、新しい他人の先生もいる訳だから。


「山田君と神宮寺さん……。そして大田さんと山本さん……。あなた達四人は学年でも成績が優秀だし。もう三年生で、学園生活の方も、残り一年もないから。担任の私が聞いても度を越しているような、高校生らしくない不純異性の話しをしていても、素知らぬ振りをして流すけれど。ホームルームも一応は授業の一環だから。それを痴話喧嘩で妨げる行為を先程からしている、あなた達四人は。今から廊下に出て立って反省していなさい」と。


 俺達の担任である女性教師……。


 未だ確か結婚をされていないはずの、婚期が遅れている。


 三十路年齢以降になっているはずの、アニメや漫画、ライトノベルに出演しそうなぐらいガチガチ仕様の眼鏡をかけ。


 大人の色香をムンムンと醸し出し、モンローウォークで歩く。


 女性ティーチャーの篠田先生が、嗚咽を漏らす俺の横に着て──仁王立ちしながら。


 俺と沙紀、蘭と加奈に対して、今から教室の外──廊下へといき。


 四人仲良く並んで立ち、反省をするようにと下知をくだしてきた。


 だから俺達四人は。


「篠田先生ごめんなさい」


「本当に申し訳ございません」と。


 蘭と加奈が席を立ち、篠田ティーチャーへと頭を下げ謝罪をすれば。


「ひく、ひく、すいません」と。


 二人に続くように席を立った俺が、泣き癖がついたまま、篠田ティーチャーへと謝罪をすれば。


「うわぁあああん! 先生ごめんなさい。ごめんなさい。全部私が悪いんです」と。


 最後に沙紀の奴が、自身の顔をクチャクチャにしながら泣き、叫び。


 篠田ティーチャーへと平謝りを何度もするものだから。


 俺達の担任の篠田ティーチャーも少し困った顔をしながら。


「神宮寺さん、分かりましたから。早く廊下にでていなさい」と告げる。



 ◇◇◇


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