第165話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (18)
俺は沙紀への独り言のような愚痴や不満の方が、未だ収まることもないから。
自身の両目から涙をポロポロと流し。
「うぅ、うううっ」と嗚咽を漏らしつつ、俺は呻りながら。
自身の思い出したくない過去……。
そう、アイツ、沙紀の奴が。
あのチャラ男の大学性へと。
自身の純情を全部捧げたことをまた思い出し、嫉妬心と憎悪を募らせながら。
こんなことも思い始める。
確かに俺は勉強ばかりをして、沙紀から見れば。
あの大学性と比べても面白くない奴だとは思う。
実際沙紀の奴は、あの大学性の家庭教師をお付き合いの最中は。
毎日嬉しそうにL〇NE ばかりをしていたし。
周りの奴等もアイツの元彼が、LINEを送り返すのが余りに早いから。
驚愕していたのを俺は知っているし、何度も見て確認をしている。
それに俺自身は受験生だから。
沙紀の元彼のように車の免許も持っていないし、自分の車も持ってはいないけれど。
それでも俺は、自分なりにはアイツ、沙紀のことを大事にしてきたつもりなのに。
沙紀の奴は俺のことを騙し、安易に裏切り、捨てた癖に。
また俺の許へと安易に戻りたいと思う方がどうかしていると思うのと。
沙紀の奴は俺のことを小馬鹿にするのもいい加減にしろと思いつつ。
俺は俯き、涙を流していると。
「もう沙紀、変な事を和也の前で話しをするのは、いい加減にしてよ。お願い。頼むから……。あんたは、前の彼氏と楽しくやっていたから知らないけれど。和也の落ち込みようは本当に酷くて大変でね。うちや山本さんが、和也を元気つけるのにどれだけ苦労したと思っているの。だからいい加減にして、お願いだから」と。
沙紀の幼馴染である蘭が。
俯き、嗚咽を漏らす俺の頭を。
慌てて抱き締め、抱擁……。
俺の頭や背を優しく撫でながら、沙紀へと不満と諫めを告げると。
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