第164話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (17)

 過去の出来事……。


 あの日、この日。


 俺が沙紀の奴に死刑執行を言い渡された日のことを思い出せばね。


 でっ、その日を境に俺は大変に落ち込み。


 家で。


 自身の部屋で閉じこもり生活……。


 まあ、三日間ぐらいだけれど。


 学園も休んで、家にこもっていると。


 日替わりで加奈と蘭が、俺の身を案じて訊ねてきてくれた。


 それも自分ではなく他人……。


 そう沙紀にフラれ、捨てられ、落ち込んいる俺のことを加奈と蘭は、心から心配をしてくれて。


 俺の心傷している心を癒し、尽くし、介抱をしてくれた。


 だから俺はまた笑顔で学園へと通えるようになった訳だから。


 俺が沙紀ではなく、蘭と加奈を。


 自身の心の拠り所……。


 女神さま、マリアさま、仏さまと仰いで。


 二人に対して事ある毎に甘えるのは致し方がないことだとは思わないか?


 でも俺は、沙紀に甘えるのも嫌だし。


 あいつが俺に甘えてくると本当に虫唾が走ると言うか?


 和也、お前は寛大な男ではなく、肝の小さな男だと。


 他人から嘲笑いを受けようが。


 俺は未だコイツ、沙紀のことを許す気には、未だなれないし。


 あの日、この日。


 俺が沙紀に騙され捨てられた日と。


 俺が落ち込み泣いていた日に。


 沙紀はあの大学性に優艶に甘え、重なりあっていたんだなと。


 俺は思うとさ、この場で。


 そう、未だホームルームの授業の最中であり。


 俺と沙紀の周りには蘭と加奈……。


 そして他のクラスメイト達がいるにも関わらず。


 俺は本当に情けない奴……と、言うか?


 女のように未練がましい情けない奴だから。


 自身の両目からポロポロと涙の滴を流し始めたよ。


「くそ、くそ。歯痒い。歯痒いな……」と。


 俺は自分でも、己のことが、(キモイ奴だな。本当に俺って、大丈夫なのか?)と自戒しつつも。


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