第162話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (15)
「ああ、確かにお前は俺に言ったよ。俺も覚えているから。お前が来年の春、大学の合格発表の後に。お互いに好きな人がいなくて、誰ともおつき合いをしていなければ。二人はまた仲良く寄りを戻そうと言った事は。俺自身も確かに覚えているよ」と。
俺は先ず、沙紀の奴へと、こう告げる。
「でしょ。和也もちゃんと覚えていてくれているよね」と。
まあ、沙紀のは俺の言葉を聞き。
アイツのうざい涙がピタリとやむぐらい歓喜したよ。
本当にこいつは嬉しかったのだろうな? と。
アイツのことを真横から見ている俺が思うくらいにね。
だって沙紀の奴は、俺の話しを聞き終えると。
蘭と加奈のことをアイツはチラリと見詰め始める。
そう、俺が今仲の良い三人の内の二人へと。
沙紀は勝ち誇った顔と目で。
『ふっ、ふふ、ふぅ~ん』と薄ら笑いを浮かべながら見詰める。
でも俺はそんな優越感に慕っている沙紀の奴へと。
「……でもな?」と声をかけ。
「それはあくまでもお前が、俺以外の男と一度でもお付き合いをしていないと言うのが前提だ」と。
俺が呻るように沙紀へと告げれば。
今まで能天気に薄ら笑いを浮かべていた沙紀の顔色が急変──。
青い顔をしながら。
「えっ! うそ?」
俺に訊ねてきたから。
「当たり前だろう、新宮寺……」と。
俺は怒りをあらわにしながら沙紀へと言葉を返せば。
あの時のこと……。
そう、沙紀の奴に捨てられた日のことを思い出しながら。
「お前が俺へと出した提案に対して。俺が頷いてみせたのは、お前の両親が受験勉強に差し支えるから。大学の合格発表までは、お互いが受験勉強に専念するために一度別れるように言われたのと。またそれぐらい本気で受験勉強をしないのならば、沙紀! お前に両親が大学などいくなと言われたからごめんと。俺に謝罪してきたから。俺は納得をして頷いたんだろう……」と。
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