第159話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (12)

 沙紀の奴は、下を向き。


 自身の唇をタコのように尖らせ。


「でも……」と。


 やはりまだ二人に対して、不平不満のある態度を見せる。


 でもさ、いくら沙紀が不平不満な態度をとっても。


 この通りだよ。


「でもじゃないよ。沙紀……。うちは何度もあんたに。和也の件は考え直せと言ってはずだよ。前の沙紀の彼氏は、あんたの家庭教師をしていて先生なのに。生徒である沙紀、あんたに対して、してはいけないこと……。会社での決め事である生徒を口説き。お客の信用を失うことを平然とやってのけるような、職務放棄をするような男だから。他にも彼女みたいな人が多々いるような、チャラ男だから絶対にお付き合いの方は辞めた方が良いと。うちは確かあんたに何度も言っては諫めたと思うけれど? 和也のところに戻る方が良いとね。でも、あんたはうちの話しに耳を貸そうとせずに。大丈夫、大丈夫だからと言ったよね?」と。


 沙紀の奴はまた蘭に、グチグチと口煩く諫められたのだ。


 それでもアイツ、沙紀の奴はね。


 蘭の口煩く諫められ。


 自身の瞳を濡らし、輝かせても。


 更にアイツは不平不満を漏らしてくる。


「うぅ、うううっ。私はみんなにそんなことを言ったかもしれないけれど。和也にはちゃんと言っていたもん」と。


 蘭や加奈……だけではなく。


 沙紀の奴は俺にも声をかけてきたから。


「ん? 新宮寺。お前、俺に何を言ったけぇ?」と。


 俺が首を傾げると。


「私、和也には、来年の春にお互いが。彼氏、彼女がいなければ。またおつきあいをしようねと。ちゃんと告げているし。和也はその時にちゃんと私の言葉に対して『うん』と、頷いたもん。だから和也は私のものだから。二人は私に和也を返して。おねがいします」


 沙紀の奴はとうとう『うぇ~ん、うぇ~ん』と泣きながら二人へと……。


 そう、蘭と加奈に自身の頭を下げながら、元々彼の、俺を返して欲しいと嘆願をした。



(お願い)


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