第150話 高校三年生になれば、こんな偶然も起こるらしい? (3)

「あなた達も私のことが気に入らなければ。和也に甘えればいいじゃない。ねぇ、和也?」と。


 俺の斜め後ろから加奈の奴が告げ、訊ねてくる。


 それもさ、あいつと言うか?


 加奈の奴は大変に気だるげに、自身の机の上に上半身を横にさせながら。


 自身の腕を最大限にのばしつつ。


 俺の背を、肩をね。


 加奈の華奢な指で、ツンツンとつついては。


 俺にさり気なく。


 以前のように……。


 そう、今回の席替えの前と変わらない振る舞いで。


 何処かでよく見る。


 読む。


 視聴をする。


 ラブコメのマンガやライトノベル、ドラマの主人公ヒーロー様達みたいに。


 独身貴族を満喫している優柔不断な俺へと。


 あいつはさり気なく、甘えながら訊ねてくるから。


 俺は「えっ!」と驚嘆を漏らし。


 その後は、「…………」と口を開くことができずにいると。


「……どうせ大田さんは、和也から許可をもらっているのでしょう?」と。


 加奈が蘭へと意味深な台詞で。


 やはり気だるげに問えば。


「えっ! ま、まぁ、ねぇ……。許可をもらっていると言うか? まあ、別に腕を組んで歩いても構わないとは。和也から許可はもらってはいるけれど……」


 蘭は言葉を詰まらせ、動揺隠せない……。


 そう、自身の顔を桜色に染め、照れ恥ずかしそうに、可愛く。


 加奈へと言葉をモジモジと返せば。


「そうだよね。和也と大田さんが本通りの中を。塾までの道のりを腕を組んで仲良く歩いているのを私何度か見たことがあるから」と加奈が蘭へと言葉を返すと。


 加奈の奴は、更に自身の口を開き。


「……だから太田はさんは、私に対して別に不満など、ないんじゃないのかな?」


 加奈は自身の首を傾げながら相変わらず。


 自身の腕が。


 指が。


 届く限界の位置まで伸ばしながら。


 俺の背中周りやお尻を指先でツンツンと突き甘えながら蘭へと問いかける。


 でもさ、蘭が俺に腕を組み甘える事なんて。


 俺が自身の脳裏で、『う~ん』と考える人になり。


 俺達二人の過去を思い出しても。


 蘭が俺に甘えたのは、加奈と比べても本当に僅かだからね。


 蘭の加奈への嫉妬心と不満が収まる訳ではなく。



(お願い)


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