第130話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (28)

「だって和君~」と由美は甘ったるい声音を漏らすと。


「この間のフラワーフェスティバルの時だって、新宮寺先輩の元彼の大学生の人に対して和君は本当に殴りかかりそうな顔をしていたから由美も山下先輩も慌てて和君のことをとめたんだよ」とプンプンと頬を膨らませ。


「私も山下先輩も和君が事件になったら大変だからと思ってね、慌てたの……。それと今もね……」と、直ぐにムキになり、子供染みた様子へと移り変わる俺の顔を由美は不満のある顔で見詰め。


「偶々由美がジュースを購入しに売店にきたからいいようなものだけれど。もしも由美がこの場にきていなかったら和君は大変なことになっていたわよ……」と。


 由美の奴は最後には呆れた顔で俺へと諫めてくる。


「あっ、はははっ、悪い。悪い。由美ごめんなぁ~」


 俺の事を本気で思い叱ってくれた由美へと俺はガキの頃とかわらない笑みを浮かべ誤魔化しながら謝罪をした。


「はぁ~、もう和君は本当にしょうがないのだから」


 まあ、こんな感じだよ、由美の奴は。大きく嘆息を漏らし、いつまでたってもガキ大将のままでいる俺に対してこいつは、また呆れた顔、声音で呟く。


「あっ、はははっ。すまん、すまん」


 だから俺もいつもの由美……。幼馴染様へとガキの頃から変わらぬ様子……。自身の頭に手を当て、笑い誤魔化し、由美へと再度謝罪をする。


「それはそうと和君? 何が原因で牧田先輩達を殴ろうとしたの?」


 由美は俺が何で牧田に対して憤怒したのか? と訊ねてくる。


「俺と沙紀の事だよ」と由美に告げ。


「……牧田やあいつのツレ達が俺と沙紀の事を揶揄しながら嘲笑い。侮ってくるからついついムキになって……」と。


 にへらと笑いながら俺は由美へと告げれば。


「ああ、今結構噂になっているもんね、新宮寺先輩は……。由美達、一年生の間でも話題に上がっているよ」


「そうなんだ?」


「うん」と由美は頷くと。


「特に連休前のあれがいけなったよね、新宮寺先輩は……」と、由美も俺と同じくにへらと笑い『』と告げてきたので。


 俺は由美に「あれ、がって、何だ?」と問う。



(お願い)


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