第128話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (26)

 となれば?


 先程から不機嫌極まりない様子の俺だから、牧田の奴相手に鬱憤晴らしをしてやろうか? と思いつつ。自身の目の下にあるプラスチック製のラーメン丼二つが乗っかったお盆はちゃんと両手で持ち上げ──。俺の事をケラケラと侮るように薄ら笑いを浮かべる牧田の許へと移動を始めだす。


 俺がプラスチック製の丼の中に未だ残っているラーメンの汁を溢さないようにだ。


 あいつ……。クソ生意気な、にへら顔でいる牧田の頭を、ラーメン汁が未だ残る丼が乗っかったお盆であいつの頭をぶん殴ってやろうと思うから俺は足早に牧田の許へと向かい始めると。


 流石に牧田の奴とあいつの取り巻き達……。


 多分バスケ部の連中だと思われる家の真面目学園にも少しはいるちゃらけた、チョイワルの奴等が顔色を変え始めたよ。


 大変に不機嫌極まりない顔でいる俺が自分達の許へと歩き、詰め寄ってくるからね。今迄ケラケラと薄ら笑いを浮かべていた牧田の奴も急に自身の顔色を変え始めただしたよ。


 だから俺(この根性無しが。馬鹿じゃねぇのか?)と思いつつ。逆にニヤリと微笑みながら牧田達が屯っている場所へと歩行を続けると。


「あっ! 和君! 何処にいくの? お盆を下げるのはそっちじゃなく、こっちだよ」と。


 俺自身何処かで聞き覚えのある声音……ではないよね。(笑)


 まあ、家が近所で幼馴染だから俺と毎朝、余程の事がなければ。俺の家へと親父やお袋の許可を得て、我が物顔で上がり込み──。幼馴染の異性の俺を叩き起こしにくるラブコメの幼馴染ヒロインのような由美の奴が多分、自販機のカップのジュースを購入しにきたのだろうと思うのだが。


 牧田と、その取り巻き達の許へと向かう俺の足を止めるように、自身の小首を可愛く傾きながら訊ねてくる。


 だから俺は牧田の許へと向かうのを中断──。後ろを振り向き。


「えっ! いや、あのな……」と由美に言葉を漏らすのだが。


 当の本人である由美はまさか俺が高校生にもなって昔……。中坊の時のようなイケイケな様子へと戻り。余りにも俺や沙紀の事を愚弄する牧田の奴をぶん殴ろぅとしているなんてあいつは夢に思っていないから。由美の奴は更に首を傾げ。


「……ん? どうしたの、和君? お盆を返すのはこっちだよ……」と告げてくるから。


「ああ、由美わかっているよ」と、幼馴染様へと言葉を返せば。



(お願い)


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