第116話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (14)
「竹内! ストップ! ストップ!」
「竹内、もうやめろ!」
「やめるんだ! 竹内!」
「竹内、お前の勝ちだから……」
「これ以上、山田を殴ると本当に不味いって!」
「山田が入院でもしてみろ、マジで警察沙汰になるから」と。
俺にヘッドロックを入れて──。俺の顔の中心線を一方的に殴っている竹内君に対してもう喧嘩の方は辞めるようにと次から次へと声が上がりだす。
だから竹内君の口からも。
「ああ、分かったよ……。お前らの言う通りで、俺ももう山田を殴るのは辞めるわ……」と。
彼の口から戦意が薄れた声音が漏れ──竹内君は俺の首に回し、締めていた自身の二の腕の力を緩め始めだすから。
俺は自身の虚ろな意識の中でもニヤリなのだよ。己の口角の端を吊り上げ、薄ら笑いを浮かべると、自身の左手を勢いよく上げ──指先も伸ばし、竹内君の目、瞼を狙う──。
そう、一中最強の男が俺の指先を凝視し、慌てて目を、瞼を閉じた瞬間に彼の視力を奪う為に爪を立ててやたった。
俺なりのケジメ……。
自身の彼女を強引に奪われた事への俺なりにできる最後のケジメの布石にする為に。俺は竹内君の視力を一時的に奪ってやったよ。
だからさ、一中最強の男からね。
「うわぁあああっ! い、痛ぇえええっ! 痛ぇよぉおおおっ!」と絶叫が放たれたから。
俺は更にニヤリと微笑み。
そのまま自身の頭を後方へと下げ──勢いよく戻して──竹内君の顔をめがけ頭突きを入れ込む。
〈ガン!〉と。
竹内君の顔から大変に鈍い音が漏れるくらい激しく、勢いよく、頭突きを入れ込んでやった記憶があるよ。
だって朦朧とした意識の俺の瞳に竹内君が自身の顔を両手で抑え。
「うわぁあああっ!」と叫び、「うぅ、ううう」と呻る姿が。
俺の瞳に映ったし。未だに俺の記憶の中に薄っすらと残っているから間違えはないとは思う?
この場にいる者達……。竹内君のツレや後輩……。その彼女達や俺のあいつだった奴のツレなど。今迄ワッ喧騒していた奴らも俺と竹内君の喧嘩の内容が予想外の展開へと移り変わってしまったからね。
皆は唖然、呆然としながら沈黙を始めたぐらいだから。
う~ん、でもさ、俺の竹内君へのケジメは一発だけ、これで終わり……。
(お願い)
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