第115話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (13)

 だから俺の顔は、鼻血まみれになりながら。


「うわぁあああっ!」、「い、痛いー!」と絶叫──!


「うっ、ううう……」と呻りを繰り返しながら。


 俺の華奢な首に回って締めている竹内君の太い二の腕を何とか外そうと抗い始めるのだが。やっぱり二の腕は中々外れない。


 だから俺の口から自然と。


「うっ、うぅ、ううう。うぇ、おぇ、うぅ、ううう」と。


 今にも嘔吐でも吐いてしまいそうな息苦しい、悲痛な声音が漏れてくる。


 俺が竹内君の二の腕を自身の両手で抗い外そうと試みるのと。彼の顔に何とか俺の頭を打つける攻撃──頭付きができないか? と。


『フン! フン!』と鼻息荒く、血を垂らしながら試みる。


 でも俺の、懐かしい思い出しシーンを見てもらえればわかる通りだ。


 俺が『フン! フン!』頭を勢いよく上下に振ろうが、竹内君の顎すら掠る事もできない……どころか?


 そんな俺の抗い行為を竹内君は当たり前のようによくは思わないから。俺の首に回し、ヘッドロックしている二の腕を更にギュッ! と力強く締めるのと。


 俺の顔の中心を更に殴り始めだすから。


 更に俺の様子は刹那状態へと陥っていく。


「うっ、うく、うぎゃ、あああっ! うぅ、うううっ。く、苦しい。死ぬぅっ。死んでしまぅ。くっ、くぅ、苦しいよ……」と。


 まあ、こんな感じだったと思う?


 刹那状態へと陥っている俺の口から断末魔に近い絶叫しか、呻り声と共に仲良く漏れてこないから。


「ちょ、ちょっと和也やばいんじゃない?」

「うん、何だかやばいよね」と。


 俺の彼女だったあいつのツレや後輩達が俺の様子が可笑しいからと次から次へと心配した声音で騒めき始めだすから。


「あんたら、ちょっと竹内止めてよ。このままだと和也が大変な事になるから止めてよ。お願いだよ」と。


 一中の竹内君のツレや後輩達に対して、俺達二人の喧嘩を止めて欲しいと嘆願が……。


 それも次から次へと漏れ始めるものだから。


 自身の彼女と一緒に俺達二人のタイマンを観戦していた者達等は、流石に無視を続ける訳にもいかない状態へと陥るから。


「お、おい。竹内……。山田とのタイマンの方は、もうこれで良いんじゃないかな?」と、一人でも声が漏れると。




(お願い)


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