第112話 高校三年生になれば、こんな噂も立つよね? (10)
俺自身、自分の彼女を、あいつの意思とは無関係に竹内君にNTRされた訳だから。
いくら竹内君が一中最強だと自負している相手であろうとも俺は、彼に一矢報いてやらないと、自分の中に募っている憎悪と、この荒々しく高ぶった気が収まりつかないのと。
俺自身もこれから先あいつと別れ、お互いが違う奴を好きになり別の道を歩んでいくための、ふんぎり……。
そう、俺が「はぁ、はぁ」と息荒くしながら向き合う──タイマンを張っている竹内君とあいつは今後仲良く共に歩んでいくのだろうと思うから。
俺自身の二人への嫉妬心と憎悪を断ち切り無くし。あいつに『あばよ~』と心から言えるようになる為と。今後二人が仲良く肩を並べ街中を歩いている姿を凝視した時に。
『どうも』、『こんにちは』、『いつも二人は仲がいいですね』、『末永くお幸せに』と明るく振る舞えるようになる為にも。
どうしても竹内君との負けるとわかっている喧嘩! タイマンも! 俺自身は避けて通る訳にはいかない。
だからファイティングポーズをとる俺は、竹内君の顔にめがけて──〈ガン!〉だ。
自身の握り拳を〈ガン!〉と打ち込めば。
〈スッ〉とリズム良く直ぐに、後ろへと後退──。竹内君との距離を測る……。そしてまた打ち込むのだ。
まあ、これの繰り返しをおこなう。
そう、俺がガキの時に習っていた空手の組手……。
俺はそれを思い出しながら竹内君相手に粘り強く戦っている。
俺よりも身体も大きく、力もある竹内君が。俺の粘り強さに負けて戦意喪失……。
『おい、山田。もう喧嘩は辞めようぜ……』、『俺が悪かったよ』、『今後はお互い仲良くしようなぁ……」と呟いてくれるのを待つ策を実行している。
まあ、俺はしているのだが。普通の者ならば、これだけ俺自身が粘り強く戦い。時間稼ぎをおこなえば。
『山田、もう喧嘩はやめようぜ』、
『俺が悪かよ』、
『仲良くしようぜ』で、だいたい終わる。終了するのだよ。膠着状態が続けば喧嘩やタイマンはね。
だから喧嘩相手に当たれば大ダメージを入れる事が可能な足技、蹴りは出来るだけ控えて──。敵に捕まらないようにされながら距離をとりつつ。
『ワン! ツゥ!』と握り拳だけを入れながら逃げ回る方が得策だからしていたのだが。
やっぱり彼は、竹内君は、そうはいかない相手だったよ。
(お願い)
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